事例紹介: 株式会社ダイワコーポレーション

株式会社ダイワコーポレーション 代表取締役社長 曽根 和光氏

倉庫内の安全に配慮しつつ、
全員参加型で通電後の入出庫に備える

株式会社ダイワコーポレーション ロゴ

代表取締役社長 曽根 和光氏

想定リスク: 東京湾北部地震
業種: 運輸業

-事業内容を教えてください。

当社は、関東圏に主要拠点を12か所置き、総所管面積約12万坪を有して営業倉庫業、倉庫施設・ビル賃貸業、サブリース業を中心に幅広い物流サービスを提供しています。倉庫会社として顧客の要望に合わせた倉庫の提供や倉庫用地の開発をすること、また顧客の製品を流通加工することで商品化して全国の店舗や個人に届けることを通して、人とモノをつなぐことを事業のミッションとしています。当社の強みは、優位な立地条件にある当社の倉庫と全国の倉庫会社とのネットワークを活かし、顧客の要望に合わせた最適な物流センターの構築、物流システムの提案ができることです。

-今回BCP策定に取り組まれた理由を教えてください。

東日本大震災後、倉庫業界内でBCP策定が話題に上り、当社にBCPがないことに危機感を抱きました。震災以降、顧客からも東日本大震災と同程度の地震に耐えうる保管体制を要求されています。今後も多くの顧客から災害時における対応を問われる可能性が高まることでしょう。震災によって顧客の商品が損傷しご迷惑をお掛けすることは、当社の責任として大きく問われる事態であるため懸念しております。

そこで、担当部署内でBCPを策定しようとしましたが、被災想定や文書等が上手くまとめきれずに途中で断念しました。しかし最近になって、ある重要得意先から災害時対応についての問合せがあったことと、昨年度に東京都BCP策定支援事業に参加した関連会社から本事業を強く勧められたことをきっかけに参加しました。

-策定されたBCPの内容を教えてください。

今回は、災害時対応の問合せがあった営業倉庫業における重要顧客を対象にBCPを策定いたしました。倉庫では、顧客と合意した業務計画を基に、顧客からの入庫指示に従って商品を入庫して保管し、加工指示に伴い商品にタグをつけ梱包する等の流通加工を行い、出庫と配送を行います。

発災後は、まず従業員の安全確認を行います。その後、対策本部は全従業員の勤務状況を日次管理し、復旧状況や作業量に応じ、既に全拠点に準備している衛星電話を使い全営業所の勤務体制を指示します。停電時は倉庫内に光が入らないため、商品の被害状況確認は行わず、従業員の安全が確保できる範囲で倉庫内設備の被害状況を確認することにしました。そして、出庫に必要な梱包資材等の備品やパソコン、伝票発行に必要な機器の修理手配を緊急時連絡先リストに基づき手配します。入出庫を管理している倉庫管理システムの復旧については、協力業者に連絡して機器及びデータをリカバーします。

また、今回対象とした顧客の商品を保管している倉庫は他社から借り上げて当社が使用しているため、エレベーターや照明等の倉庫内設備の復旧には貸主との連携が欠かせません。このため、共用の倉庫内設備の早期復旧要請をはじめとした災害時対応について協議することにしました。

電力が回復した後、出庫に必要な資材や機器を取り寄せ、梱包を行い、順次出庫していきます。電力復旧前に安全確認・在庫確認を行い、通電後の入出庫作業準備ができるよう環境を整える必要があると感じましたので、自家発電機の導入を前向きに考えております。

対象事業営業倉庫業
対象リスク東京湾北部地震
被災シナリオ・ 4割の社員が出社困難
・ 倉庫内商品と倉庫内事務所が乱雑化
・ 停電により倉庫内設備が停止
予防・低減策・ 棚の固定等転倒防止策
・ 閉じ込められた場合の脱出用道具の購入等、倉庫・倉庫内事務所の安全環境を整備
・ 倉庫貸主と災害時対応を協議
代替策・ 対策本部が復旧状況や作業量に応じ、全営業所の勤務体制を指示
・ 協力業者に連絡し機器及びデータをリカバー
・ 被害状態の確認後、倉庫貸主と連携し設備復旧

-苦労されたポイントや、新たな気付きはありましたか?

今回の策定作業は、プロジェクトの事務局だけでなく各部署の代表者も参画しての全員参加型で行いましたが、検討の際「仮説を元に話を進める」という方法に全員がついて行くまでに時間がかかりました。業務上当たり前だと思っていたことを、‘BCP上ではこのように考える’という切り替えができるまでに苦労いたしました。

業務面以上に、従業員の安全面においても、日頃から備えておくべきことがたくさんあると気が付きました。BCPは仮説を基に策定するので、実際はどうなるかという不安は常にありますが、災害時における安全を考慮した職場環境を整えることに力を入れたいと考えています。

但し、安全面を考慮し過ぎると顧客満足に影響が出ることや、顧客満足を追及すると安全面に影響が出てしまうことから、両者を深く考えると矛盾することが多く経営者としてジャッジをどうするかという問題に直面します。だからこそ優先順位の軸を乱さないように取り組み、今後全社への浸透を図りたいと考えています。

-BCPを策定した感想をお願いします。

取引先からのBCP策定要望が非常に高まっており、営業戦略上、策定したBCPを顧客にPRしていきたいと思っています。また、これからBCPを教育訓練することによって、社員のマインドの大きな変革につながると期待しています。

今回策定したBCPは当社事業のごく一部を対象としているので、今回対象としなかった事業、事業所についても範囲を広げていき、会社全体の体制を強化したいと真剣に考えています。

株式会社ダイワコーポレーション BCP策定プロジェクトメンバーの方々

関連サービス詳細

プロジェクトメンバー

代表取締役社長曽根 和光 氏
管理部 執行役員芦川 慎治 氏
営業所統括部 執行役員茂垣 幸司 氏
管理部 次長先崎 良三 氏
平和島営業所 次長金子 雅彦 氏
川崎営業所 次長八木 一也 氏
横浜金沢営業所 次長江原 泰彦 氏
東京城南営業所 課長代理藤井 直樹 氏
新山下営業所 係長高見 庄一朗 氏
営業部 主任片瀬 寛之 氏
管理部 主任堂上 洋行 氏
経営本部 主任今岡 美智代 氏
会社情報
称号: 株式会社ダイワコーポレーション
本社所在地: 東京都品川区南大井6-17-14
設立: 1951年10月
資本金: 9,000万円
従業員数: 144人
代表者: 代表取締役社長 曽根 和光
事業内容: 物流サービス(普通倉庫業、倉庫施設・ビル賃貸業・自動車運送取扱業他)
URL: http://www.daiwacorporation.co.jp

(2012年12月末日現在)

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