事例紹介: 株式会社ビーベストワーク

株式会社ビーベストワーク 代表取締役社長 剱持 正和氏

ノンアセット型3PLとしての
BCPにより物流支援事業を継続

株式会社ビーベストワーク ロゴ

代表取締役社長 剱持 正和氏

想定リスク: 東京湾北部地震
業種: サービス業

-事業内容を教えてください。

当社はクライアント(荷主)と物流会社の間に入り、第三者的な立場で物流を最適化するサードパーティ・ロジスティックス(3PL)企業で、倉庫や車両等の資産を保有せず、顧客のニーズに合わせて物流と販売を支援しております(ノンアセット型)。

物流支援分野に関しては、物流センターの運営管理、商品管理作業、流通加工業務全般、構内作業及び貨物仕分けの請負、物流に関するコンサルティング等、物流業務における作業全般を行っています。

販売支援分野に関しては、販売支援業務、発送代行サービス、庶務業務サービスを行っています。いずれの事業分野においてもクライアントと密な関係を保ち、現場だけでなく経営戦略まで踏み込んでサービスレベルの向上と合理化の実現に取り組む基本スタイルで事業を行っています。ビーベストワークという社名は働き蜂(worker bee)から取ったものですが、「人」をもっとも大事に考えて経営をしております。

-今回BCP策定に取り組まれた理由を教えてください。

東日本大震災の際には当社でも安否確認や事業継続に問題があり、物流システムの運営に責任を持つ立場からBCPの策定の必要性を痛感しました。BCP活動に取り組むことで、全社的に意識を高め、社員の安全を確保し、事業継続のための意識改革を行い、お客様の信頼に応えるための企業力を高めたいと思います。

また、物流関係会社の中には、防災、災害対応、事業継続意識が低いところもあり、日頃から心配していました。当社が策定することで業界内への発信を行い、経済の動脈である物流業界全体の士気を高める一助となりたいと考えています。

-策定されたBCPの内容を教えてください。

物流支援と販売支援の位置づけは企業様にとってビジネスにおける二大要素と位置付けるため、両方の事業継続が重要であり、どちらも重要事業として災害時の事業継続を検討しました。それぞれの一連の業務は、物流支援では入荷、在庫管理、受注、ピッキング、仕分け、出荷、在庫確認・整理といった倉庫作業、販売支援では依頼受け、見積書作成、事前準備、作業、発送といった本社事務所での作業です。被災状況としては倉庫での作業員負傷や通勤困難による人員不足、顧客保有の入出荷システムや設備機器の故障などを想定しました。

物流支援では運営要員や作業員、販売支援でもプロジェクト担当者や作業員と、最重要経営資源はなんといっても「人」ですが、従業員の住所と勤務地で検証したところ、通勤困難者は全要員の11%に過ぎないと予想されるため、負傷率低減のための防災対策、防災教育を中心に対策を考えました。それでも要員が不足する場合は協力会社からの手配を考えます。

また、物流支援業務の継続のためには、顧客所有の入出荷システム、倉庫管理システム、バーチレーター、フォークリフトといったシステムや設備機器が必要になります。当社は倉庫や車両等の資産を持たないノンアセット型なのでこれらはすべて顧客保有のものであり、今後、顧客とともに防震対策、リカバリー、代替策を協議していくことになります。これらが使用不可の場合は、効率・業務量は落ちますが、手作業で対応することになります。

また、販売支援ではある程度の作業スペースとプロジェクト案件毎の資材が必要になります。被災のために本社の作業スペースが確保できなくなった場合は、同じ八丁堀近辺で作業場を確保することにし、平時のうちに物件のメドをつけておくことにしました。

対象事業物流支援事業及び販売支援事業
対象リスク東京湾北部地震
被災シナリオ・ 物流支援事業の顧客倉庫で棚の荷物の転落・散乱、負傷者発生
・ (電力の回復まで)倉庫の使用不可
・ 販売支援事業の本社で、天井の崩落、書類・資材・道具の散乱
予防・低減策・ 転落を防ぐような倉庫での荷物の配置、置き方の検討
・ 書庫、棚の防震対策(会社及び自宅)
・ PC防震対策
代替策・ 最悪の場合の入出荷の手書き処理
・ 要員不足の場合の協力会社への要員手配依頼
・ 本社使用不可の場合、八丁堀近辺で確保した作業場での販売支援事業業務続行

-苦労されたポイントや、新たな気付きはありましたか?

もともと当社では個々人に経営者マインドをもたせ、責任感をもって仕事をするよう指導しています。今回の検討では、当初不安もありましたが、検討が進むとともにメンバー全員の意識が変わってやらされ感がなくなり、真剣に、かつ楽しみながらBCPを策定することができました。

当社事業は物流支援事業、販売支援事業とも設備や機器を持たないノンアセット型、人材=人財中心のビジネスであり、人財のスキルアップ、発想力強化が重要です。今回のBCP策定では、災害、事故、負傷等にどう対応していくか、改めて考える貴重な機会となりました。

また、東京臨海広域防災公園の防災体験学習施設で、なかなか実感できない震災時の状況を体験することによって、経験が知識に変わり、備蓄品、防災グッズなどの展示も含めて、緊急時対応や安否確認について考える上で大いに参考になりました。 

-BCPを策定した感想をお願いします。

当社では日頃より会社=社員と考えていますが、BCPの策定は、その点でもいくつかの新たな発見がありました。当社のビジネスでは、物流支援は企業が商品をお客様に届けるために必須である物流のコストを効率化して、そのプロフィットをお客様に還元するものです。販売支援は企業の中での煩瑣な庶務業務を、プロとして高い品質で、効率良く処理するものです。いずれも、ディジタル化の中で、商いの原点に戻り、お客様とのコミュニケーションを大事にして、アナログ的な作業を高い品質で実行するものです。当社では営業はせず、ホームページなどで、お客様から注文を受け、高い品質で実行し、リピート・オーダーをいただいています。今回BCPの策定で、丁寧さ、品質に対する信頼性に加え、危機的状況での事業継続力という追加の信頼性を高めることができるのは、大変重要でした。

BCPの策定は企業力の向上につながると実感しています。個々人、組織の強化につながります。今後物流業界にもエンドツーエンドで物を確実に届ける上で信頼性とともに事業継続力の重要性の認識を広めていきたいと思います。

株式会社ビーベストワーク BCP策定プロジェクトメンバーの方々

関連サービス詳細

プロジェクトメンバー

代表取締役社長剱持 正和 氏
アシスタント氏家 慶子 氏
物流部 プロジェクトマネージャー和田 孝治 氏
営業部 マネージャー菊池 桂子 氏
管理課浅見 智子 氏
営業部齋藤 奈津季 氏
会社情報
称号: 株式会社ビーベストワーク
本社所在地: 東京都中央区八丁堀2-29-14 カイセイ八丁堀ビル8F
設立: 1999年4月
資本金: 1,000万円
従業員数: 38人
代表者: 代表取締役社長 剱持 正和
事業内容: ノン・アセット型サード・パーティ・ロジスティックス<3PL>(物流業務受託)
URL: http://www.beebestwork.co.jp

(2012年12月末日現在)

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