コンサルタントコラム

「フライパンの人」と呼ばれて

2016年11月25日

コンサルタント

滝沢 紀子

コンサルタント 滝沢 紀子
皆さん、こんにちは。コンサルタントの滝沢です。
ご存じない方も多いかもしれませんが、
私の特技は「フライパンでご飯を炊くこと」です。

これについては、3年前の入社時から
プロフィールに掲載しているほか、
昨年、社員の家族を呼んで行ったイベントの
ファミリーデーでも紹介しており、
そのために社員のご家族には
「フライパンの人」として認識いただいているようです。

さて、なぜ私がフライパンでご飯を炊いているかというと、
その理由としては、大きくは次の3点です。

・時短になる
・電気炊飯器よりもおいしく炊ける
・必要な分だけ炊けるので無駄がない

ただ、そもそものきっかけは電気炊飯器が壊れたことでした。

10年ほど前、学生時代から使用していた、
ひとり暮らし用の電気炊飯器が限界を迎えました。
新しいものを買おうと思っても、スペックと値段と使用頻度を勘案すると、
どれもこれもピンとこない。

さてどうしたものかと堂々巡りを繰り返していた私に、
飲食業を営んでいた友人が助言をくれました。
「1~2人用の土鍋があるんだから、それを使えば?」
半信半疑で試してびっくり。
使い勝手が良いばかりではなく、非常においしく炊けるではないですか。

感激した私は、迷うことなく電気炊飯器の代わりに土鍋を採用し、
毎日のように炊きました。そのために対応力もどんどん向上し、
土鍋は我が家にとってなくてはならないものになりました。
しかし、そんな日々も長くは続かなかったのです。

急激な酷使がたたったのか、
うっかり手を滑らせて落とした拍子に割れてしまい、
1年経たずに蜜月時代に終止符が打たれてしまいました。

BCP的に言うのであれば、電気炊飯器の代替策が土鍋だったのに、
今度はその対策自体が失われたのですから、想定外の発生です。
ただ、もう以前のように逡巡することはありません。
なぜなら、すでに私には「電気炊飯器以外でご飯を炊く」という
コンセプトが備わっていたからです。
そして新たに白羽の矢が立ったのが、蓋つきのフライパンでした。

土鍋と同じ要領でやればいいだろう、と考えた私には、
フライパンを新しいパートナーに選ぶことに、
何の迷いもためらいもありませんでした。
とはいえ、最初からうまくいったわけではありません。

土鍋との違いに戸惑い、芯が残ったりおかゆもどきになったり。
失敗したことも何度もあります。
そのたびに、水の量や蒸らす時間など改良を重ねて、
次第にうまく付き合えるようになりました。
そして、私の中から電気炊飯器の購入という選択肢は完全に消えていきました。

我が家にとってフライパンは代替策ではなく、
メイン運用ツールとなったためです。
それから約10年、今でも変わらず我が家ではフライパンでご飯を炊いています。

ここまでお付き合いいただき、
「結局のところ、電気炊飯器を買えばよかったんじゃないの?」と思われる方も
多くいらっしゃることでしょう。確かにその通りかもしれません。

BCPでも必要なリソースが使えない場合の対策としては、
代わりのものを「買ってくる」や「借りてくる」が定石ですし、
その方が効率的だと思います。
しかし、それだけだと同じ何かが起こった場合に、
逃げ道がなくなる可能性があります。

今回の電気炊飯器を例にとると、
物自体の破損と停電により使えないという事態の発生が考えられます。
前者であれば新しいものを買ってくれば事足りますが、
後者には対応できません。そこへいくと土鍋やフライパンはどうでしょう。
ガスが使えれば何とかなると思いませんか?
カセットコンロで炊くこともできますよね。

もし10年前のあの時、電気炊飯器を買いに行っていたら、
私はフライパンの可能性に気づくこともなく、
今もお肉を焼いたり野菜をいためたりカレーを作ったりするぐらいにしか
使わなかったことでしょう。

しかし土鍋やフライパンを選んだことで、
生活の一部になじむくらいのスキルを備えた形で、
バックアップを得ることに成功したのです。

もっとも、これはあくまでも家庭の話ですから、
企業のBCPに必ずしも通じる話ではありません。
ただ、少し視点を変えた対策を探ってみること、
そしてその対策を継続使用し、
平常時と同レベルの稼働を目指すことで、
対応力を向上させる手段となりうるのではないでしょうか。