コンサルタントコラム

若葉マークのリスクマネジメント

2017年02月10日

エグゼクティブコンサルタント

辻井 伸夫

エグゼクティブコンサルタント 辻井 伸夫
こんにちは、辻井です。

昨年末、我が家に大きなリスク源が登場しました。
それは、娘が自動車免許を取得し、車の運転を始めたことです。

運転を始めた頃は、
休みの日に家族で近くのスーパーに買い物に行く際に
運転をさせる程度だったのですが、
年明け、ついに高速道路を使って静岡県の三島まで
行くことになりました。
本人が、「高速道路の運転をしたい!」と強く希望したためです。


娘は、自動車教習所で高速道路教習をしないまま卒業し、
しかも卒業後1年間近くも運転免許試験場に行かず、
免許取得後も家から半径5キロ以内しか
自動車を操ったことがない「超初心者」です。
その運転技術に、家族の命を預けるには、相当の決心が必要でした。

我が家から三島までは、東名高速、小田原厚木道路、箱根新道、旧東海道を
使っていくことになります。
どの道路も、たくさんの車が走っています。
自宅近くの道のように片側1車線ではないから、
もしかしたら車線変更という高度な運転技術が必要になるかもしれません。

なんとか、このリスク源によるリスクを他に「移転」する方法はないか、
あるいは娘に運転をあきらめさせてリスクを「回避」できないか、
いろいろと考えましたが、いい方法は見つからず、
リスクを「軽減」するしかないと意を決し、
娘の運転する車に乗って川崎と三島を往復することにしました。

結論から言うと、このドライブは大きな問題は発生せず、
家族一同無事に、家に帰ってくることができました。
その時に気をつけていた、若葉マークの初心者の運転する車に乗るときの
3つのリスク軽減策をお教えします。


1.助手席は、運転席の10倍周りに気を配る

超初心者の運転は、前方だけに自分の注意の90%を向けています。
サイドミラーやルームミラーで後ろを気にしたりする余裕はありません。
助手席や後部座席に座った家族は、前の車との車間距離を気にしながら、
横を見たり、後ろを見たり、たえず周囲に気を配って、
リスクを顕在化させない(事故を起こさない)ようにしないとなりません。



2.早めにゴールに向けて効率的なルートを教える

超初心者にとって、高速道路での車線変更は、
橋の上から飛び降りるバンジージャンプよりも勇気のいる行為です
高速道路のジャンクションやインターチェンジで車線変更が必要になる
1キロ手前で「車線変更して」といっても、ウインカーを出すことを逡巡しながら
1キロ程度は走り続けてしまいます。
助手席のナビゲーターは、カーナビよりも早く最適なコースを導き出し、
出来るだけ早く車線変更の指示を運転者に伝えなければ、
リスクを顕在化させてしまう(目的地にたどり着けない)ことになってしまいます。



3.決して大声で驚かさない

超初心者は運転に集中しているため、
周りの音に意識を向けることができません。
カーラジオやCDの音楽など、車の中に流れている心地よい音は、
耳に入っているだけでそちらに意識を向けていることはありません
そんな超初心者に、助手席や後部座席から
「あっ! 富士山だ!」とか、「腹減った!」とか、
大きな声を出してしまうと、いきなり音の方に意識が移ってしまい、
それと同時にハンドルを持つ手に意識が行かなくなってしまいます
その結果、車がグラっとしたり、運が悪ければ最悪の危機を起こしてしまう
(他の車やガードレールにぶつかったり、人をはねたり)
することにもなりかねません。決して大声を出してはいけません。


さて、視線を世界に広げると、
今年になって太平洋の対岸に「超々初心者」の大統領が誕生しました。
誕生してから、まだ2週間余りしか経っていませんが、
この「超々初心者」はあっという間に世界中を混乱させてしまっています。

我が家の若葉マークのリスクマネジメントでは、
交通事故を起こすこともなく新春のドライブを終えることができましたが、
かの大統領が抱えるリスクが顕在化したときには、
交通事故どころの危機ではなくなってしまいます。

彼の視野はどの程度の広さがあるのか、
彼の目指す本当のゴールは何なのか、
そして、いきなり大きな負荷がかかったときに彼がどのような反応を示すのか、
私たちにはわかりませんが、もしかしたら我が家の3つのリスク対応が
有効に機能するかもしれません。

そして、今ほど痛切にリスクマネジメントが重要だということを、
感じていることはありません。
それとも、AIが発達して自動運転の自動車のように、
AIによる世界の支配を待った方がいいのでしょうか。

それはそれで、怖い世界ですね。
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