コンサルタントコラム

美しいリズムを取り戻そう!

2017年04月07日

アソシエイトシニアコンサルタント

川上 泰央

突然ですが、皆さんは、「三上(さんじょう)」という言葉をご存知でしょうか?
三上とは、「ものを考えるうえで最適な場所」のことで、それは3つあり、
「馬上(ばじょう)」、「枕上(ちんじょう)」、「厠上(しじょう)」のことを指します。
 
「馬上」とは、馬の背に乗っている時のこと。現代では、移動する電車や車、飛行機の中のこと。
「枕上」とは、枕の上に頭を置き、寝る時や目覚めた時のこと。
「厠上」とは、トイレの便座の上に座り、用を足す時のこと。
 
前回のコンサルコラムでは、愛すべき馬の瞳について書きました。
残念ながら、このコンサルコラムは馬上で執筆していませんが、
馬上にいるかのような感覚を持ちながら、
馬の魅力を伝える第二弾としまして、「馬上」について書き綴ってみようと思います。
 
まず、古来より馬の背は、重い荷物を運ぶためや、
人が遠くへ移動するために利用されてきました。
草食動物である馬は、お腹の中に非常に長い消化管を持っています。
その重い消化管を支えるために、固く強固な背骨を持っています。
馬は、背骨の曲げ伸ばしをせずに走ります。
そのため、人は馬の背の上に乗ることが出来るのです。
 
馬上で歩様を感じる
それでは、馬の背に乗った気分になって、馬の歩様(歩き方・走り方)を感じてみましょう。
乗馬の歩様には、常歩(なみあし)と速歩(はやあし)と駈歩(かけあし)の3種類があります。
(競馬の走り方は、襲歩(しゅうほ)と言います)
 
常歩とは、馬が歩いている状態のことを言います。
4本の肢が交互に着地する4拍子の歩法です。
速度は、分速110メートルほどになります。
乗り手には、軽い前後の揺れが伝わります。
 
4拍子は「4拍でひとつのまとまりを形成しているリズム」です。
「強-弱-中-弱」または「強-弱-弱-弱」という感じです。
多くのポピュラー音楽は、この4拍子です。
 
乗り手の体は、1・2・3・4のリズムで、前に動かされるのを感じます。
このゆっくりとした繰り返しのリズムによって、
心が穏やかに落ち着く感覚を得られます。
 
速歩とは、馬が小走りしている状態のことを言います。
対角線上の肢が交互に動く2拍子の歩法です。
速度は、分速220メートルほどになります。
乗り手には、上下の揺れが伝わります。
 
2拍子は「2拍でひとつのまとまりを形成しているリズム」です。
人が「歩くような」「行進するような」リズムで、
「上-下 上-下」、「右-左 右-左」、「強-弱 強-弱」という感じです。
行進曲やサンバは、この2拍子です。
 
乗り手の体は、1・2、1・2のリズムで上下に動かされ、
馬の背の動きについていくのが一番難しい歩様です。
しかし、このリズムに体を合わせられるようになると、
動きの繊細さを感じると同時に、
エネルギーが溜まっていく感覚を得られます。
 
駈歩とは、馬が走っている状態のことを言います。
3節の動きで、3本の肢が接地している時期と、
4本の肢すべてが地面を離れている時期がある3拍子となります。
速度は、分速340メートルほどになります。
乗り手には、大きくゆったりとした前後の揺れが伝わります。
 
3拍子は「3拍でひとつのまとまりを形成しているリズム」です。
「1つの強拍と2つの弱拍」「1・2で動き、3で戻る」という感じです。
ワルツ(円舞曲)は、この3拍子です。
 
乗り手は、1・2・3、1・2・3のリズムで、
後ろから前にタカタン・タカタンと体が突き動かされるのを感じます。
とりわけ、3で空中に浮く感覚を味わえます。
ジャズの「スウィングするリズム」も3拍子と言えます。
しなやかに体を動かせば、馬と一緒に踊っているかのような感覚を得られます。
 
馬上で閃きを感じる
馬の背に座り、両足で馬体を挟むと、何故だか心が落ち着きます。
それは、馬の体温が人間の体温と近いため、温かみを感じるためでしょう。
また、馬の心拍数と呼吸数が人間の半分くらいのため、
時間的にゆったりとしているような感覚を得られるのだと思います。
 
馬上のこの安心感のなかで、
乗り手の体(骨盤や背骨周り)は、馬の背の動き・リズムによって動かされるため、
体の中心からエネルギーが湧き出てくるような感覚を得ることができます。
この動きによって、思ってもみない「閃き」を感じるのかもしれません。
ゆえに、「三上」のひとつに「馬上」が選ばれているのでしょう。
 
馬上を楽しむ
さらに、乗り手と馬が一体となって、音楽を奏でるかのように動くためには、
乗り手が、今、どんな動きをしているのか、今、正しいリズムをとっているのか、
今、どんな心待ちなのか、ということに常に、意識を向けることが必要です。
そして、馬の背の上で柔らかく、そして静かに座り、
馬の動きが躍動的になるようにタイミングよく合図する、
馬が合図に応対したら喜び、褒めるということを実践しながら、
人馬の相性を高めていくことが「馬上の指揮者」として必要になります。
 
「徐々に」、「軽やかに」、「短く」、「力強く」、「速く」、「激しく」、
「間を取り」、「緩やかに」、「静かに」といった感じで、
自分の奏でたい音楽のスピードをコントロールし、
音のつながり(人馬の動き)をメロディーとして楽しむのです。
 
リズムという言葉は、古代ギリシャに生まれた概念「物の姿・形」を表す言葉です。
それが音楽の世界で「ひとつのまとまりのある形」として使われる言葉となりました。
自然の流れに則した「美しいリズム」を生活に取り戻し、仕事に活かすためには、
馬の動きを理解するように、何事もよく観察する。
人馬一体となるように、関わる人々と調和する。
ということが大切なように思います。
 
 
 
 
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※「三上」
出典:欧陽脩「帰田録」「余、平生作る所の文章、多くは三上に在り。
乃  ち、馬上・枕上 (ちんじゃう) ・厠上 (しじゃう) なり」から。
文章を考えるのに最も都合がよいという三つの場面。馬に乗っているとき、寝床に入っているとき、便所に入っているとき、のこと。
 
※体温、心拍数、呼吸数
馬の体温は、37.5℃から38.5℃で、
日本人の体温は、平均37℃
馬の心拍数は、1分間に30~40回程度で、
人間の心拍数は、男性で60~70程度、女性で65~75程度
馬の呼吸数は、1分間に8~12回程度で
成人の呼吸数は、1分間に14~20回程度
 
 
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