コンサルタントコラム

役者になってみる

2018年07月18日

コンサルタント

花井 香奈子

コンサルタント 花井 香奈子

大勢の人を前にしてのプレゼンテーションや発表会。
たとえ準備をしっかりしていたとしても、雰囲気にのまれてしまい、
緊張することってありますよね。
仕事だと大丈夫なのに、プライベートだと・・・という場合もあるかもしれません。

そんなときは、役者になってみるのはいかがでしょうか。
 
役者になるといっても、俳優に職を変えるというわけではなく、
自分という役を演じてみるということです。
今回は、とある劇団の研修生をしていた頃の不思議な体験を書いてみたいと思います。

それは、2時間に渡りセリフ劇をお客様の前で披露するという一発勝負の舞台初日でした。 
稽古はしてきたものの、一般のお客様を目の前にした舞台は初めて。
開演前は、すさまじい緊張に襲われ、幕が開いてもセリフを3つ4つ言うまではとにかく必死。
この緊張感では先が思いやられました。
ところが、開演3分後に突然緊張が解け、その後は大きくとちることもなく2時間の舞台を
無事終えることができたのです。
 
緊張が解けた瞬間はまるで、幽体離脱をしたような不思議な感覚で、
「今、自分がしゃべっているなー」とか「次の展開はこうだったなー」など、
演技をしている自分を妙に冷静に見ることができたのです。
そこには、演技をしている自分と、それをどこからか客観的に見ている自分が存在しました。
 
この体験には、「緊張を解き放つこと」と、「それを起こすきっかけ」の二つが
重要な鍵だったと考えています。
 
まず、緊張を解き放つことができたのは、
「役になりきり、それ以外の自分は入れない」のではなく、
「役を演じている自分の存在に気付いた」ことが功を奏したようでした。
つまり、大舞台に立っている自分を一人称から切り離し、他人事のように思うことで、
失敗を恐れている一人称の感情に支配されなくなり、いらない緊張がなくなったと考えられます。
 
プレゼンテーションや発表会は、自分の感情に押しつぶされて自滅するケースが
あると思いますが、自分を一人称から切り離し、自分の感情を一旦外から見ることで、
その失敗は随分軽減されると思います。
 
では、なぜ突然冷静になれたのか。冷静を取り戻すきっかけについてですが、
先に述べた舞台の時は、ふと、幕の隙間から演出家が関心なさそうにそっぽを向いて
タバコを吸っている姿が見えました。
つまらなそうな姿がとてもリアルで、自分を一気に現実に引き戻してくれました。
それが引き金となり、自分は舞台の上で役を演じているだけなんだなという目線に
気づくことができたのだと思います。
 
この経験では、たまたま我に返るためのきっかけを見つけたことが有効に働きましたが、
きっかけは、自分自身でも作ることができます。
私もいくつか試してみましたが、例えば、いつもの自分より声を大きく出してみる、
ゆっくり話してみるなど、自分が自分という役を演じていることを忘れないように
意識させるだけで、驚くほど冷静さを保つことができました。
 
少なくとも、「人」の字を掌に書いて飲みこむよりも、有効ではないかと思います。
 
役者になってみる。
意外と面白い発見があるので、ぜひ!

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