コンサルタントコラム

絵本が見せてくれる世界

2018年10月10日

コンサルタント

玉川 朝恵

コンサルタント 玉川 朝恵

2018年は日本とスウェーデンが外交関係を樹立してから150周年に当たります。
そのため、各地で記念のイベントが開催されています。

9月24日まで八王子で開催されていた「長くつ下のピッピの世界展」もその一つです。
『長くつ下のピッピ』はスウェーデンの児童文学作家であるアストリッド・リンドグレーンが
生んだ童話です。
スウェーデンという国も絵本も好きな私は、これは行くよりほかあるまいと足を運びました。

『長くつ下のピッピ』はリンドグレーンが娘のために書いた作品であり、
主人公は世界一つよい天真爛漫な女の子です。
そんなピッピにはお父さんもお母さんもおらず、作中では「子どもの家」
(孤児院のようなもの)に入れられてしまいそうになる場面も描かれています。
リンドグレーンは絵本が敬遠しがちな「死・喪失」などのテーマを描くことを恐れませんでした。

さらに彼女は、子どもの権利擁護者としても活動していました。
スウェーデンでは、世界で初めて子どもへの体罰を禁止する法律が定められましたが、
それはリンドグレーンが1978年にドイツ書店協会平和賞受賞式で行った
「子どものしつけに暴力は不要」の提言がきっかけになっています。
私はそんな彼女だから込められるメッセージやテーマに魅了されているのだと思います。

私は今でも絵本が好きで、よく本屋さんや図書館で小さな子ども達にまぎれて
絵本を物色しています。休日にメイクもせず、無邪気な子ども達が駆け回る図書館の
児童コーナーで絵本を物色する私の姿はある種ホラーですが、
できるだけ存在を消して紛れ込む術は既に身に着けています。

私がそうまでしても絵本を読みたいと思う理由は二つあります。
一つ目は世界を旅できるからです。文章だけではなく、絵があるからこそ、
様々な世界の建造物を見たり、訪れたことのない世界の有名な景色に
出会ったりすることができます。
それを見て次はここに行きたいな、そうそう、こんな景色だった!とわくわくしてくるのです。

二つ目は想像力を掻き立て、ハッと気付きを与えてくれるからです。
絵本には作家からの様々なメッセージが込められています。
ここで、ハッとさせられた二つの絵本をご紹介させて頂きます。

『二番目の悪者』
王様になりたかった金のライオンが、別の王様候補として浮上した
優しい銀のライオンに関するあらぬ噂を流します。
噂を耳にした動物たちは真実を確かめもせずに噂を次々と拡散していきました。
その結果、金のライオンが王様になりますが、結局国は腐敗してしまいます。
この絵本のもう一つのタイトルは「考えない、行動しないという罪」です。

『サザエさんのえほん どうぶつむらのきしゃ』
動物たちを乗せた満員の汽車が走っていました。
その内、重い荷物を抱えたりすが座りたいとさけぶ子たぬきに席を譲ります。
するとねずみの車掌が元気そうなくまに、元気な人は席を譲ってと言い、
くまは渋々席を立ちました。
ねずみは帰宅後この話をすると「お父さん立派」と言われます。
くまも帰宅後この話をすると、「えらいわーお父さん」と言われます。
なぜなら、くまは足の裏にけがをしていたからです。

私は想像力があるからこそ人は他者を思いやり、慮れるのだと思っています。
文中にはありませんでしたが、絵ではくまは杖をついていました。
元気「そう」に見えるくまは本当に元気なのか、泣かない人は本当に強いのか、
想像力を働かせて生きていきたいと思っています。

このご時世、簡単に世界は旅できるようになりましたし、
想像力は絵本でなくても育んでいけます。
が、絵本は多くの気付きをもたらし、想像力への扉を全開にして待っていてくれます。
大人になった今、もう一度絵本の世界に飛び込んでみませんか。

当社のWebサイトでは、サイト閲覧時の利便性やサイト運用および分析のため、Cookieを使用しています。こちらで同意をして閉じるか、Cookieを無効化せずに当サイトを継続してご利用いただくことにより、当社のプライバシーポリシーに同意いただいたものとみなされます。
同意して閉じる