コンサルタントコラム

1秒の愉楽

2019年01月28日

執行役員 兼 プリンシパルコンサルタント

内海 良

執行役員 兼 プリンシパルコンサルタント 内海 良

こんにちは。内海です。
もう1月が終わろうとしていますが、2018年はどのような年でしたでしょうか。
私にはなかなか思い出深い1年になりました。
長年温めてきた構想をようやく実現することができたからです。

それは世界一周。

ある年はそもそも休暇日数が足りず、ある年は売上が足りず、
ある年は金銭的に難しく…やっと実現し、
1.5ヶ月の長期休暇を取り世界を廻ってきました。

20代、30代の多くを海外で過ごしたものの、やはり世界は違っていました。
まずホテルを予約したと思ったら、行ってみると民泊のようなアパート
だったりする。いわゆるAir B&Bのような。
また、ホテルで日本語の新聞がなくなっていることも残念に思ったことの
一つ。昔は世界チェーンのホテルであれば、日本語の新聞が当たり前に
読めたものです。今あるのは、The China Timesばかり。
平成も終わり、失われた30年と言われるなか、Japan As Number 1は
本当に遠くなったものだとしみじみ思いました。

そんななかで、これも変わるのかと思ったのがヨーロッパのエレベータ
事情です。
以前ヨーロッパのエレベータでは「閉」めるボタンがないのがけっこう
当たり前でした。当然「開」けるボタンはありますよ。「閉」めるボタンが
ないだけです。
約15年前に初渡英するまで、私はエレベータに閉めるボタンがないなど
考えたことがありませんでした。

エレベータに乗りドアを閉めようとして、ボタンを探す、Openの「O」ボタンは
あってもCloseの「C」ボタンはない。指を宙に浮かせたまま、
「あぁ、ないのね」と何度も思ったものです。

そして当時考えました、なぜないのか。
結論は必要ないから、でした。

早くドアを閉めることで稼げる時間はせいぜい1秒程度。
1秒早く閉めることになんの意味もないだろ、と、エレベータに乗って
操作盤の前で指を宙に泳がせるたびにそんなふうに言われているようで、
ヨーロッパはおおらかだなぁと思ったものです。
そして、そんな思い切った決断(?)をする考え方を、とても好ましいものと
感じていました。

今回改めてヨーロッパを訪れると、Cボタンのあるエレベータは格段に
増えていました。
おおらかさが失われたのか、単なるエレベータメーカのグローバル仕様の
統一なのかはわかりませんが、海外ホテルで日本語の新聞が読めなく
なったこと以上に、残念に思っています。

以前ヨーロッパでCボタンがないことに慣れていた私も、今では
エレベータに乗ると、すぐに閉めるボタンを押します。
行き先の階数を押してから閉めるボタンを押すと、コンマ数秒を無駄に
したと思うほどに。

働き方改革、生産性向上が声高に叫ばれ、効率という言葉が
脅迫観念に近いほどに擦り込まれているのかもしれません。

2019年は1秒を削る効率追求にどれだけの意味があるのかを改めて考え、
気持ち穏やかに過ごせればと思っています。

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