コンサルタントコラム

翔べる埼玉

2019年03月13日

コンサルタント

富田 稔啓

コンサルタント 富田 稔啓

映画『翔んで埼玉』が話題ですが、実は埼玉県にはレアな体験ができる
場所が多々あることをご存知でしょうか。
例えば、越谷にはインドアスカイダイビングが体験できる施設があります。
またパラグライダーやパラセーリングのスクールもあり、
更にスカイダイビングのスクールでは高度3,800mからのスカイダイブが
体験できます。
この高さは国内最高度とのこと。富士山の3,776mよりも高いとは、体験の
価値ありです。
さらに、ラペリングができるところもあります。
ラペリングとは、自衛隊や警察、消防やレスキューなどの部隊員が、
ロープ1本で高いところから降下する例のあれです。
映画『バイオハザードIIアポカリプス』で、主人公アリスがビルから
駆け降りるシーンがありますが、まさに同じようなことが体験できます。
空と陸は制覇しましたが、海無し県で有名な埼玉県。
水の中はどうかというと…なんと埼玉県にもダイビングスールがあります!
スクーバダイビングは、アマチュアでは水深40m程度まで潜れます。
重力から開放されて、まるで海の中を翔ぶような体験です。
まさに「翔んで埼玉」ですね。

さて、一見して全く別物に思えるスカイダイビング、ラペリング、
スクーバダイビングに共通しているのは、自分が「圧倒的な力(重力、水圧)」
の中で行動しており、それを適切に制御することで初めて安全が確保
されるという点です。
もちろん、技術やツールはそれぞれ違います。
しかし、私がこれらをそれぞれ体験して実感したことは、人間が
リスク下での行動を適切に制御するために最も必要、かつ大切な事は
共通しているということでした。
その共通点は自分の「心」です。

ホメオスタシスという言葉をご存知でしょうか。
Wikipediaによると、「生物および鉱物において、その内部環境を一定の
状態に保ちつづけようとする傾向のこと」とのことです。
人間は何らかのストレスを受けた場合、それを元に戻そうとし、
そのために無意識に様々な事をしてしまいます。
例として、ラペリングでは落下速度を緩めるためのブレーキは、
通常片手のみで行います。
しかし自由落下では体の反応として「落ちたくない、何かに捕まりたい」
という気持ちから、無意識に両手でロープを握ろうとしてしまいます。
この場合、ブレーキがかかる点が1本のロープに対して2つ発生し、
重心を不安定にさせ体勢をうまく保てなくなります。
また、スクーバダイビングでは、一般常識では不可能である
「水の中での呼吸」に対しての恐怖で、必死に息をしようとし、不必要に
多くの呼吸をしてしまいがちです。
これにより酸素ボンベの消費が早くなったり、浮力の変化が大きくなる
ことで水中での体勢を不安定にします。
これらは一種のパニック状態とも言えます。リスクがある環境で無意識に
こういった行動をとると、自身への危険が増すことになります。

また、リスクを意識することは人間の心にとって大きなストレスとなるため、
正常性バイアスが発生します。
これは自分がどんな危ない状況に置かれていても、「自分は安全なんだ、
大丈夫なんだ」と思い込むことでストレスを解消したくなる傾向のことで、
自分にとって都合の悪い情報を無意識に無視したり
「大したことではないんだ」と、過小評価したりしてしまいがちです。

パニック状態と正常性バイアスが相互作用するのは、とても恐ろしい
ことです。
心理的に何かストレスとなる現象にあうと、人の心はまずショックを受け、
次にパニック状態となると言われています。
しかし、正常性バイアスにより「自分は恐怖を感じていない」と思い込んで
いると、自分がショックを受けたことも、パニック状態になっていることも
気づかない場合があります。
気づかないまま無意識にリスクを回避しようとして、その結果、危ない
行動をとって危機的状況に陥り、さらなるショック及びパニック状態に陥る
という悪循環を招く恐れがあるのです。

スポーツだけでなく、災害でも、テロ等の犯罪の現場でも、
同じことが言えます。
危険な状況の中で安全を確保するならば、まずは安易に根拠なくそこが
安全だと思いこむのではなく、数値などできる限り客観的な根拠に
基づいて判断する必要があり、その判断に基づき、無意識ではなく、
意識して自身の行動を制御できるかが重要なのではないでしょうか。

「治に居て乱を忘れず」、言うは易しですが、徹底してしっかりと
実践するのはとても難しいと思うこの頃です。
有事の際にきちんと対応するためには、いかに早く自分の心を冷静にし、
その場の危機を分析・判断することができるようになるかが最も重要な
ことです。
そのためには、「今、危機的状況に陥った場合、自分はどうすべきか」を、
常日頃から考えるクセをつけることが有効です。
「危機的状況」を疑似体験するスカイダイビング、ラペリング、
スクーバダイビングに取り組める埼玉は、絶好の地と言えるでしょう。
ぜひ一度、足を運んでみてはいかがでしょうか。

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