コンサルタントコラム

「持続的な技術」の革新は価値観までも教えてくれる

2020年01月15日

アソシエイトシニアコンサルタント

備酒 求

12月の年末商戦で、Bluetoothイヤホンを購入しました。
いわゆるワイヤレスイヤホンというものです。
きっかけはスマートフォンの機種変更に伴うものでしたが(イヤホンジャックがない!なんとかしなければ!!!という焦りです)、その種類の多さには驚かされました。最終決定するまで一週間はかかったかもしれません。

Bluetoothイヤホンはいわゆる「持続的技術」の革新と言えます。
これは『イノベーションのジレンマ』を著作したクレイトン・クリステンセンが提唱した考え方で、顧客から、既存商品と同じ基準で評価される技術革新
(イノベーション)を言います。
対して全く新しい評価基準で評価される技術革新を、「破壊的技術」の革新と言います。PCやiPhoneの登場、自動運転技術などが該当すると考えられて
います。

昨今のイノベーションは「持続的技術」の革新に該当するものが多いのではないでしょうか。イヤホンの他にも、キャッシュレス決済や、ミラーレスカメラ
等々…。既存の商品を一工夫してできた商品・サービスであると言えます。
iPhone登場などの「破壊的技術」の革新を学生時代に目の当たりにしてきた世代としては、少し物足りなく感じているのと同時に、同じサラリーマンとして
若干のもどかしさを感じてしまいます。

ただ「持続的技術」の革新にも楽しみがあると考えるようにもなりました。
Bluetoothイヤホンの選択にあたって、ミクロな視点から自らの趣向を考えていたのです。これまで自己分析があまり好きでは無かった、かつマクロな視点
でしか物事を見てこなかった自分としては、驚く程大きな発見でした。
そこで、今回は私のBluetoothイヤホン購入にあたってのプロセスを振り返り、そのような思考体験を皆様にもご紹介したいと思います。

Step1. 観点の洗い出し
某ECサイトでイヤホン一覧を確認し、ざっと観点を洗い出しました。
洗い出しにあたっては「そもそもなんでこれ欲しいのだっけ…?」と自分に問いを立てました。
その回答は「外出先で簡単に音楽を聴けること」「オフィスでも集中すること」「音楽を聴きながら家事をすること」の3つでした。そこで必要な観点を洗い出し、優先順位をつけてみました。

1. 持ち運びやすさ&オフィスで聴ける違和感のない形
2. 音質(遮音性;ノイズキャンセリング)
3. 電池の持続性
4. サポートの充実度
5. 色

なるほど、音質が一番ではないのか…。ノイズキャンセリング必要なんだ…。
もっとデザインや色を気にしているイメージがあったな…。最初の驚きでした。

Step2. 観点別の情報収集
次に実施するのは、それぞれの観点での情報収集です。

まずは一つ目の「持ち運びやすさ&オフィスで聴ける違和感のない形」について。ざっと調べてみると…

● ヘッドフォン
● イヤホン(ケーブル対応可能)
● イヤホン(ケーブル対応不可)
● ホルダーがついているか否か

ヘッドフォンを持ち運ぶのは大変だな…。オフィスでつけていたら社長に怒られるだろうな…(苦笑)。オフィスPCとBluetooth接続はセキュリティ上よろしくないな…そこでイヤホン(ケーブル対応可能)を選びました。

続いて、「音質」や「電池の持続性」についても、同様に考えていきます。
このように検討を進めていくと、今回の買い物で自分が何を重視しているのか、自分の価値観や考え方が次第に浮き彫りになっていきます。

このように分析することは、言い換えると、“ミクロに物事を考える”ということでもあります。比較的マクロの視点で考える傾向にある私にとっては、この手法は思考を変える大きなきっかけになりそうです。

2020年は4K/5Kテレビや、既存自動運転技術の向上など、「持続的技術」の革新が数多く予定されています。
「破壊的技術」の革新の驚きは次の機会にとっておき、「持続的技術」の革新を軸にした自己分析を徹底的に行ってみてはいかがでしょうか。

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