コンサルタントコラム

CHANGE IS CHANCE

2020年11月04日

コンサルタント

谷野 祐規

こんにちは、コンサルタントの谷野です。
本稿が初めてのコラム執筆となります。どうぞよろしくお願いいたします。

さて、早いもので2020年も11月ですね。今年を振り返るには少々早いですが、今年は何と言っても、コロナ禍における急激な世の中の変化が起こりました。とりわけ影響の大きい業界の中の一つにエンターテインメントがあると思います。私個人も、スポーツ観戦やコンサート、演劇などの鑑賞を趣味としているため、その影響を肌で感じました。

今年はプロ野球も無観客で幕を開け、夏頃から徐々に有観客試合が解禁されました。8月にはようやく、スワローズファンの私にとってホームである神宮球場へ足を運ぶ機会が得られましたが、結局、シーズン終了まで「キャパシティの50%程度」と入場者制限が設けられていました。それでも、周りを見渡してみると、観客は大声を出さずに選手の声や球音などを楽しむという新たな応援スタイルを受け入れているように見受けられました。

一方で、事業者側に立ってみると、チケット収入や飲食・グッズの売上減少などにより、大幅な収益減は免れないでしょう。このままでは、エンターテインメントを支えていた「ライブ体験」に継続的に大きな制限が課され、産業自体が立ち行かなくなってしまうのではないか。観客の減った球場を見渡しながら、そんな不安を感じました。

そんな中、ある物が「エンターテインメントの救世主になる」と確信した出来事がありました。“ある物”とは、ずばり5Gです。第5世代移動通信システムの5Gは、通信において「超高速」「超低遅延」「多数同時接続」を実現するとして注目されていますが、最近参加したあるイベントで、この5Gに大きな可能性を感じたのです。

それは、あるミュージシャンによるオンラインイベントでした。「VRを使ったリアルタイムのMV(ミュージックビデオ)撮影イベント」というもので、参加者は自宅にいながら、「ほぼリアルタイムで演者やプレイヤー当人になれる」という体験ができます。

「ほぼリアルタイム」と表現したのは、現在の通信システムではどうしても現地と数秒間のズレがあるためです。今後、5Gの本格普及に際してその数秒間のズレすらなくなると、通信事業者などがPRしている「臨場感溢れる体験ができる」というような体験価値が実現されるでしょう。それによって、これまで価値がゼロだったものにも価値が与えられるようになるのではないでしょうか。

先ほどのイベントの例でいうならば、MVにはもともと商業的価値があるものの、その制作風景は従来、「メイキング映像」として特典のような扱いでした。ところが、この「VRを使ったリアルタイムのMV撮影イベント」では、これまで特典扱いだった「メイキング映像」に、疑似とはいえ「ライブ体験」という魅力が加えられています。これまでファンが知ることのできなかった舞台裏の世界を、演者やプレイヤーの視点で「ライブ体験」できるということは、とても大きな魅力ではないでしょうか。

これを応用すれば、「プロスポーツの練習」「ライブや舞台のリハーサル」など、これまで商業的価値が与えられていなかったあらゆるものに、商機が生まれることが予想されます。ファンであれば、スポーツの試合や公演の本番という真剣勝負の場だけでなく、少しリラックスした舞台裏や、本番のクオリティが完成するまでの過程にも興味があるものです。

ニューノーマルの時代においては、今までのように東京ドームに5万人が集結することや、日本武道館で1万人がオールスタンディングで叫ぶなどということは難しいかもしれません。その代わりに、「物理的なキャパシティを大きく超える人数が、完全リアルタイムでエンターテインメントをあらゆる形で楽しむ」という新たな楽しみ方が広がることを期待したいと思います。

苦境を逆手に捉えるときに「ピンチはチャンス」という言葉をよく耳にしますが、海外では一文字違いで「変化:Change」は「機会:Chance」と言うそうです。先述の体験では、まさに、コロナ禍におけるニューノーマルな社会や習慣がいみじくも新たな技術の普及と時を同じくして、エンタメ体験の機会創出を演出しているかのような思いになりました。

今はまだ、自社や産業自体が苦境に立たされているという方も多くいらっしゃると思いますが、変化を追い風にするような発想の転換が、今は必要なのではないかと思います。

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