コンサルタントコラム

「みんなの負荷を軽くしよう!」

2009年11月11日

エグゼクティブコンサルタント

久野 陽一郎

エグゼクティブコンサルタント 久野 陽一郎
こんにちは!ニュートン・コンサルティングの久野陽一郎です。
今回のコラムは、内部統制評価作業の改善を通して、効率的に作業を
進めるにはどうすれば良いのかを考えていきたいと思います。

日本版SOX法(いわゆるJSOX)への対応も2年目を迎え、大分落ち着いて
きたのではないでしょうか。

しかし、昨今の経済環境変化により、M&Aやグループ企業の再編などが
引き続き活発に行われる中、企業は人員削減などでコストセンター部門を
軽くし、より筋肉質な組織へと向かっている動きがあります。

このことは、内部統制の評価を担当している部門も例外ではなく、
初年度よりも少ない人数で評価作業を行わざるを得ない企業様が
多いと感じています。また評価される現場の方々も組織の変更により、
担当部署が変わったり、部門の人数が削減されたりと色々な課題があります。

そういった状況の中、昨年度と同様に評価作業を進めると、少なくなった
評価者は作業負荷でパンクしてしまいます。では、評価の質を下げずに、
効率良く作業を進めるにはどうすればよいのでしょうか。

大きく分けて2つの対応策が考えられます。

・評価作業を標準化する
・評価対象をスリム化する

■ 評価作業を標準化する

評価者が複数おり、かつ評価対象となる拠点が複数ある場合には、
評価者間、拠点間の差異を出来るだけ少なくすることによって
評価作業が加速します。

通常評価に使用する評価シートのフォーマットなどは統一されていますが、
そこに記載される内容は各拠点や業務内容によって異なります。

しかし、拠点が異なっていても業務内容が同じである場合は基本的な
統制内容に相違はありません。作業者やチェックする上長が異なるだけで、
統制すべきポイントは、変わらないからです。その統制の記述内容を
統一することで、評価者が評価をする際のポイントや収集すべき証跡が
統一化され、統制が有効かどうかの判別を実施しやすくなります。

 

■ 評価対象をスリム化する

もう一つのやり方として、評価対象を減らすことによる業務負荷の低減が
考えられます。昨年度は初年度だったということもあり、
「あるべき姿」に対して足りない統制をできるだけ整備・構築し、
監査人の指摘に対して、保守的に統制を追加された企業様も多かったのでは
ないでしょうか。保守的に多めに統制を整備・構築しているため、
統制数と比例する評価作業も必然と多かったのが昨年度でした。

今年は、統制の数を減らす=評価対象を減らし、評価作業を削減することを
進めていくことが可能です。

 

具体的な例としては、下記2つの方法が考えられます。

・重複する統制をまとめる
・キーコントロールを減らす

本来のJSOX対応の主たる目的は財務報告の虚偽記載のリスクを減らすこと
ですので、仕訳の構成要素である金額、日付、勘定科目に関わる観点から
統制を整備・構築すべきです。しかし、直接的に上記の観点に
関わらないところにも統制をあてていたり、必要以上に繰り返し
チェックをするように統制を整備・構築しているケースもあります。

評価対象を絞ることにより、評価者の作業負荷が減るだけでなく、
評価対象となる業務を行っている現場の方々も準備すべき証跡が減るなど、
被評価作業の負担削減が可能です。

日々の作業に追われていると、「あれもこれもしなければ」と作業負荷に
押しつぶされる感覚があるのではないでしょうか。
しかし、一歩下がって全体を見ると、共通部分をまとめることができたり、
重複している作業をすっきりさせることが可能です。

今回は内部統制の評価作業を例に作業の効率化を考えてきましが、
このことは内部統制だけでなく、他のプロジェクトにも共通して

言えることだと思います。

標準化や余計なものを省くことにより、各作業者の負荷を減らし、
プロジェクト全体が効率良く進むようにしていきたいですね。

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