コンサルタントコラム

未来を知るビジネス

2011年02月23日

執行役員 兼 プリンシパルコンサルタント

内海 良

執行役員 兼 プリンシパルコンサルタント 内海 良
「世界はリスクで溢れている。」

こんなことをある大学教授が言っていました。残念ながら事実です。我々は常にリスクに曝されています。一ヶ月後リストラに遭うかもしれないし、株価が大暴落するかもしれない。ジョギング中に雷に打たれる可能性だってあります。

リスクが多い故に人は拠り所を見つけようとします。

予測、予報、予知、予言、占い…

すべて「未来を知ろうとする試み」という点で共通です。では他にどんな共通点があるでしょうか?

それは厭らしい言い方ですが「カネ」になるということです。どれもビジネスとして成り立ち、しかもやりようによってはかなり儲かるらしい(笑)。ではもう一つ思考を進めてなぜ儲かるのでしょうか?

それは単純。未来を知るのは非常に困難だからです。困難が故に価値もやりがいもある、というわけで、各分野で様々な方が「未来を知ろうとする」試みを行っています。ただ常々思うのは、そういった予想や予測、占いが垂れ流しにされるケースが多い、提示した内容に対して結果がきちんと精査されていない場合が少なくないということです。

ということで今回は、私の今年最初のコラムということもあり、昨年の主だった予測を精査してみたいみたいと思います。ちょうど手元に2009年末に発行された、2010年の動向を108のテーマに沿って予測した雑誌があります。この中から主だった予測と実際の結果を総括してみましょう。

注)わかりやすい部分のみ取り上げています。あくまで雑誌からの抜粋ですので、あしからず。

◆経済◆◆

【GDP成長率】-----------------------------------------------------------
予想:実質成長率は1.1%。「回復感なき回復」が続く (N社K氏)
結果:1~3月期が年率4.9%という高成長になったことによるゲタの効果もあり3.3%の結果

予想以上に数値は上回ったようです。K氏のいう回復感なきというのはまさにズバリあたっているかもしれません。

【日経平均株価】--------------------------------------------------------
予想:8,000~11,500 のボックス往来に終始 (M社、F氏)
結果:8,824.06~11,339.30

ある程度想定内の動きに終始したといったところでしょうか。

【為替】-----------------------------------------------------------------
予想:前半で80円割れ、後半に反発し89円に上昇 (J社S氏)
結果:前半は90円前後で推移、夏場以降下落し終値81円49銭

80円は割れなかったものの、その時期は予想と大きくズレこんでいます。

◆政治◆◆

【外交】-----------------------------------------------------------------
予想:対北朝鮮:2010年内に6者協議再開 (政治評論家T氏)
  対中国:尖閣諸島付近の領域侵犯で問題が発生する可能性あり(T大学T氏)
  対ロシア:関係が強化され、北方領土返還に向けて進展あり(政治評論家T氏)
結果:対北朝鮮:再開されず
  対中国:中国漁船が海上保安庁の巡視船と激突し、大きな社会問題に
  対ロシア:大統領として初めてメドベージェフ氏が北方領土を視察。
        返還の意思はない旨の発言

大きく話題になったものを取り上げましたが、現在の中東情勢も含めて政治は複雑で予測が難しいのでしょう。

◆エンターテイメント◆◆

【映画・テレビ】-----------------------------------------------------------
予測:映画、テレビで3D技術が浸透 (エンターテイメントジャーナリストA氏)
結果:60%の映画館が3D対応に。3Dテレビに関しては予想に反して伸びず

3Dテレビは業界関係者には期待はずれに終わったようです。 確かに宣伝・広告はよく目にしましたが、持っている人は周りにはいません。

◆スポーツ◆◆

【ワールドカップ】---------------------------------------------------------
予想: 優勝アルゼンチン  準優勝ドイツ (解説者M木Y太郎氏) 
結果: 優勝スペイン    準優勝オランダ

この解説者の予想がはずれることが、ある意味予想通り。。。(失礼!)

各分野で見てきましたが、いかがでしたでしょうか。積み重ねた経験や人並みはずれた洞察力、過去のデータなどを駆使した専門家でも予測はなかなか難しいと言えるでしょう。

ただ、ある程度の予測さえたてば、どんなリスクであれ対応策を打つことは可能です。例を挙げると

リスク 対策
財布を無くすリスク 財布の中身の把握しておく。 クレジットカードの連絡先などをメモしておき、 すぐに連絡できる体制にしておく
為替リスク 株価の下落に備え、先物取引を行い、損失を相殺しておく
自然災害 予報や予知などこまめにチェックする。保険にはいっておく、等々

いつでもキーとなるのは、リスクの発生を抑えることと、発生後の対策を考えておくこと。慎重になることは必要ですが、リスクを必要以上に恐れることはありません。

「世界はリスクで溢れている」。それでも対策できないリスクはない。

我々もリスクマネジメントという「未来を知る」ことを生業としています。リスクというと後ろ向きになりがちですが、それこそ前を向いて、皆様が安心して一歩を踏み出すお手伝いをしたいと思っています。

ではまた次回。

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