コンサルタントコラム

20年目のバリスタに想う

2016年02月03日

エグゼクティブコンサルタント

辻井 伸夫

エグゼクティブコンサルタント 辻井 伸夫
こんにちは、辻井です。

昨年のクリスマスの朝、日課の犬の散歩を終えて
家に帰ってきて仕事に出かける準備をしていると、
我が家に妻の大きな叫び声が響き渡りました。

「うちに、サンタクロースが来たああ!」

なんと、私と妻のベッドの横に、
それぞれに宛てた「サンタクロースの手紙」が
貼られた大きな箱が置いてあったのです。
犬の散歩に出かける前には
そんな箱に気が付かなかったので、
散歩に行っている間に置かれたに違いありません。
箱の外に貼ってある「サンタクロースからの手紙」を見てみると、
娘の字で感謝の言葉が書かれていました。

どんなものをプレゼントしてくれたのか、
箱を開けて早く中を見たいという気持ちがあったのですが、
クリスマスといっても平日の朝、
仕事を持つ身には朝の慌ただしい時間に
プレゼントを開けて中を見るような余裕はありません。

特にその日は朝から、
現在ご支援をさせていただいている
物流会社様のトップインタビューの予定があり、
絶対に遅刻しないようにいつもよりも
早く家を出ようとしていたので、
プレゼントどころではありませんでした。

子供が小さいころには、
私たち親が夜中に枕元にクリスマスプレゼントを置いて、
翌朝の反応を楽しむというようなこともありました。
しかし、冬休みに入っている大学2年生の娘は、
プレゼントを置いてから部屋に戻って、
ベッドに入って二度寝なのか、
起きていても恥ずかしいから寝たふりなのか、
あるいは親がどんな反応をするのか興味がないのか、
部屋からは出てきません。
そのため、娘に「ありがとう」という
言葉をかけることもなく家を出て、
お客様のところへと向かいました。

午前中のトップインタビューも無事に終わり、
午後は別のお客様で仕事をしましたが、
なんとなく心の奥底がホカホカしていたのは、
プレゼントのおかげだったのでしょう。

そして、夜遅く家に帰り、あらためて娘が書いた
「サンタクロースからの手紙」を読み返しながら、
箱を開けて中を見てみると、
ネスカフェのゴールドブレンドバリスタでした。
バリスタをご存じない方も多いかと思いますので
簡単に説明すると、インスタントコーヒーから
本格派に近い味のコーヒーやカフェオレ、カプチーノなどを
手軽に作ることができるというコーヒーメーカーのことです。

バリスタは、数年前に私が自分で購入して
しばらく愛用していたのですが、
昨年、娘の友達が家に泊まりに来て、
二人でコーヒーを作ろうとして壊してしまっていたものでした。

「自分たちが壊してしまったものを、
ただ返してくれただけじゃないのか」という
一抹の疑念も生まれましたが、
それは口には出さず、娘には「ありがとう」と伝えました。

その娘も、年が明けてから成人式を迎え、
その数日後には二十歳になりました。

我が家には娘のほかに息子も一人いて、
子供が小さい頃は、毎朝、二人を保育園まで送り届けたり、
妻が夜勤の日は子供を迎えに行ったり、
熱を出した時には夫婦のどちらが仕事を休むか
一触即発になったり、
この20数年間にはいろいろなことがありました。

これで子供が二人とも成人となり、
親としての役目を果たしたという感慨も生まれました。

バリスタはとても嬉しかったですが、
子供からの本当のクリスマスプレゼントは、
二人ともが元気に大人になってくれたことです。
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