コンサルタントコラム

「BCPの考え方にリスク管理の神髄を学ぶ」

2010年02月24日

取締役副社長 兼 プリンシパルコンサルタント

勝俣 良介

取締役副社長 兼 プリンシパルコンサルタント 勝俣 良介
こんにちは!前回のコラムから今日までの約2ヶ月の間に
トホホなことばかり経験している勝俣です。
なにがトホホか?については、本日の最後で触れるとして、
今日は私が普段本やニュースを読み聞きして感じていることの
1つについて触れたいと思います。ただし、あくまでも個人的な考えです。
もちろん、ご意見・ご感想、大歓迎です。

私は、最近とても“絶対に”というフレーズが気になっています。

◆“絶対に”がもたらしたリーマンショック

昨年、世界中の経済を根幹から揺るがしたリーマンショック。
このショックには、クレジットデフォルトスワップ(CDS)という
金融商品が深く関わっていると言われています。
CDSは、取引先の倒産などで自社の貸付金が回収できなくなったとしても
CDSを予め購入しておくことで別の保証人(言ってみればCDSを売った人)が
その分の支払いを保証してくれるという仕組みです。
保証人は当然リスクを背負うわけですからCDSの購入者から
一定の保証金をもらいます。
何も起こらなければそのまま保証金分だけ儲かるわけです。

ところが今回、バブルがはじけて保証人になっていた人(多くは銀行)が
一気に巨額の債務履行を迫られることになり、
その額に耐えきれず倒産が相次ぎました。

ここに私の気になる“絶対に”があります。
貸付金が回収できなくても“絶対に”保証します、という商品・・・。
まさか連鎖的に貸付金がこげつくような事態がおこるなんて
“絶対に”起こらないだろうという過信・・・。

◆ “絶対に“がもたらすJAL問題

JALが2010年2月20日で上場廃止になりました。

10年前に誰がこのような事態を想定したでしょうか?JALは毎年大きな
損失を抱えていましたが、その要因の1つは高コスト体質です。
この高コストに寄与していたのが企業年金です。
(年300万円台半ばとされる大企業における年金平均支給額ですが、
JALでは年583万円と、この額を大幅に上回っていました)

ここにもまた私の気になる“絶対に”があります。
企業がどのような経済下におかれようが、決まった“絶対”額を
退職者に“絶対に”支払うという契約・・・。
“絶対に”最後は誰かが助けてくれる、という油断・・・。
“絶対に”JALはつぶれないだろうという過信・・・。

◆ “絶対に“がもたらすJT問題

JTは、政府がその過半数の株を所有している半ば国営の企業であり、
国の貴重な財源(約二兆円/年)になっています。
この財源を守る目的から、日本では現在、たばこ事業法およびJT法と
いうものが定められています。葉たばこの国内価格は国際価格の3倍もする
ことから、国内生産者確保の観点からJTによる全量買入を規定しています。
この強力な庇護の元、生産者はますます国際競争から取り残されている
のは言うまでもありません。ここにも私の気になる“絶対に”が存在します。
どのような事態になろうとも”絶対に“買い取ってあげるという保証の存在・・・。

”絶対に“買ってくれるのだから、という安心感・・・。

この他にも過去にオレンジ共済組合事件なんてものがありました。
この事件には、“絶対に”儲かるから・・・、“絶対に“支払うから・・・
という世界が存在していたのだと思います。

そして、その末路はみなさんご存じの通りです。

このような歴史から学べることは、どういう形であれ“絶対に“という
フレーズに安穏と乗っかる世界には大きなリスクが潜んでいる、いうことです。

「絶対につぶれないから・・・」
「絶対に起こらないから・・・」
「絶対に儲かるから・・・」

そして、それは他人事ではなく、みなさんの普段のビジネスにも
潜んでいるものだと考えます。

「“絶対に”我が社だけ被災ってことはあり得ない。
そのときは他社も被災しているから・・・」

「地震が起きても、なんだかんだで“絶対に”何とかなるから
今から考えなくても・・・」

本当にこの“絶対に”という言葉を丸ごと鵜呑みにしていいものでしょうか?

ところで実はこの“絶対に”という前提をいったんリセットしてみて
「もし“絶対に”じゃなかったら、我が社はどういう事態に巻き込まれるのか?」
を考えてみることがBCPの考え方にもつながるのです。

残念ながら、多くの企業においてこのようなBCP的考え方が
まだまだ浸透していないというのが私の実感です。
みなさん「世の中に“絶対に”はない」のです。
それがリスク管理の基本・・だとは思いませんか?

さて、最後に・・・なりますが、私のトホホとは何か?

実は車で事故を起こしました。バックミラーを見て何も写っていなかったので
前を向いてバックをはじめたら、その一瞬の隙をついて私の後ろに
車が進入してきたんです。追突・・・でした。

そしてつい数日前は右折してはいけないところで右折(完全なうっかりミス)
してしまい、なんと、文字通りその目の前に交番があり、現行犯で2点減点、
罰金7,000円を支払う羽目になりました。そんなトホホな毎日を送っております。