コンサルタントコラム

シカクいアタマをマルくする。

2011年05月11日

コンサルタント

森 孝夫

こんにちは。森です。

タイトルですぐにお分かりになった方も多いと思いますが、今回取り上げさせていただくのは、某大規模進学塾が車内広告などで公開している有名私立中学校の入試問題です。

それも算数の問題についてです。

中学入試ですから「数学」ではなく「算数」の問題なわけですが結構面白いというか、大人にとっても難しいものも多数あります。

こうした中学入試用の算数問題を解いてみるうちに感じたことがあります。それは「中学入試の算数問題って、ただ単に難しいというより、論理性が相当求められる問題が多いなぁ」ということです。もしかすると、大学入試の数学問題よりも「論理性」という点では上かもしれないと。

なぜこのように考える様になったかと言いますと、私は数年前から『大学への数学』(大学受験での数学を取り扱う雑誌)を時々買って問題を解いています。「入試で切羽つまっている時でなければ、受験数学というのはパズルみたいに面白いものではなかろうか?」と思い付いたためです。(ええ、全くの思い付きです。)

幾何だと図を書いて考えなければいけませんが、「順列・組み合わせ」や「確率」などの問題は頭の中だけでも結構解けたりします。(正直言いますと、さすがに現役受験生だった時から数十年たってしまった為、解答できる問題は限られていますが。)

『大学への数学』に掲載される問題(つまり大学受験の数学問題)を解いていて、「ああ、耄碌しちゃったなぁ」と強く感じることが一つあります。それは「公式や定理が思い出せない」ということです。(というか、どんな公式・定理があったかすら忘れている。)

たとえば三角関数の加法定理
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Sin(α±β)=sinαcosβ±cosαsinβ
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なんて綺麗に忘れ果ててしまっています。

受験数学をパズル的に楽しむ上で、定理・公式を憶えていないことは障害となります。大学受験の数学問題の多くは公式・定理が使えないと解答できないのです。問題を解いていく道筋で「XXという公式・定理により」として一足飛びに次のステップへと進むわけです。でも、こういうやり方というのは「論理的」というのと少し違うような気がします。ある意味、公式や定理という名の「ブラックボックス」に問題の解決(の一部)を丸投げしているわけですから。

もちろん、大学受験の数学問題の解答に公式が欠かせないことには、それなりの理由があると思われます。中学入試用の算数問題にくらべると、大学受験の数学問題というのは解答に至るまでのステップがはるかに多いのです。こうした多数のステップを試験時間内で処理していくためには、公式を使うことで時間の短縮を図らねばならないのでしょう。

この点、中学入試用の算数問題で公式・定理が必要なものは余りないようです。逆に各ステップを丁寧に(論理的に)説明することが求められています。確かにこれから中学に入ろうとする小学生にとっては公式・定理を憶えることよりも、解答に向かって一つ一つのステップを進めていける能力の方が大事でしょう。

タイトルの「シカクいアタマをマルくする。」が意味するように、柔軟に考えていくことはビジネスや生活の上でも極めて重要です。一般的に「柔軟に考える」というと、ひらめきなど非論理的な方法に頼るイメージもあるかと思います。しかし中学入試用の算数問題の解法が示すように、柔軟な思考とは、便利なブラックボックス、或いは既成概念や組織の慣習を是として処理することなく、一つ一つ丁寧に論理のステップを追うことで成し遂げられるのではないでしょうか。

追記:

 このように解答に向かって論理的にステップを進めなければならない中学入試用の算数問題は、大人にとっても論理的なパズルとして楽しめるものです。某大規模進学塾のサイトでも公開されていますし、単行本にもなっています。

関心がある方はぜひ挑戦してみてください