コンサルタントコラム

ストレスフリーな「猫ライフ」と見落としたインシデント

2011年09月28日

コンサルタント

轟木 由美

皆様、こんにちは。

東京都BCP策定支援プロジェクトを担当しております轟木です。

今年も既に多くのお客様との出会いがあり、ご一緒にBCPの策定を進めさせていただきました。現在も新たなお客様と忙しくも充実した毎日を過ごさせていただいております。

さて今回は、私の大好きな愛猫の育猫話「猫ライフ」と猫を愛してやまない私が残念ながらも陥ってしまった失敗、そしてハインリッヒの法則についてお話しさせていただきたいと思います。

私は長年猫との暮らしを夢見てきましたが、命を預かる勇気を持てず飼育本を読むことでその気持ちを満たしてきました。そして2008年の秋、突然その夢が叶い、ノルウェージャンフォレストキャットのオスと暮らすことになりました。名前は昔から決めていた「ラズール」と名付け「ラズくん」と呼んでいます。

かねてより、いつか猫を迎える事になった際は快適な環境で伸びやかな性格に育ててあげたいと思っておりました。そこで、どのようにしたらストレスフリーな「猫ライフ」が実現できるのか、まずは人との生活の中で何が猫にストレスとなるのかを考えました。

例えば、猫は突然音が出る家電やグルーミング等のお手入れが苦手だったり、人との生活のルール付けが負担になることがあります。そうした負担を軽減すべく、ラズくんには彼の人格ならぬニャン格を尊重し、たくさんの愛情を注ぎながら様々な工夫をして参りました。その甲斐あって、かつて夢見ていた以上の幸せな猫ライフを送れています。

ラズくんとの生活が一年程経過した冬、念のために健康診断を受けさせました。健康そのものに見えたラズくんでしたが、尿のアルカリ度が高くなっていて膀胱にストラバイト結晶(マグネシウム過多)があると判明。数日後に血尿を出して膀胱炎を発症しました。

幸い、病院でいただいたお薬で完治致しましたが、ラズくんの心身の健康を第一に日々心を配ってきただけにとても残念でした。このことを猛省し原因を探りましたところ、以下のような事が判明しました。

【発症時のラズくんを取り巻いていた「インシデント」の一部】

  • 飲水量の減少(冬場は摂取量が減る傾向がある/水飲み場が1か所しかなかった)
  • ドライフード中心の食事(乳歯が生え換わり、餌をお湯でふやかす事をやめた)
  • 嗜好の変化(幼猫用ミルクをだんだん飲まなくなっていた)
  • アルカリイオン整水器の濾過材に貝類(マグネシウム)が含まれていた
  • 運動不足(冬場で一緒に遊ぶ機会が減っていた)
  • 独特なうつ伏せでの排尿スタイル(幼猫期の名残、猫砂から菌が入り易い)
  • スープタイプのおやつを与えていなかった
  • カロリーオフフードを与えていた(穀物類にマグネシウム含有量が多い) など

私は直ちにラズくんの生活環境を見直し、特に水分を摂取させるよう心がけました。その後、猫の病気や心のケアの本も読み、気になる事があればすぐにお医者様に相談に行きます。このように様々な面から一層、ラズくんの心身の健全な状態をケアしています。

私はラズくんの命を預かっていますので常に心身の健康に留意する義務があります。そして、小さなインシデントにもいち早く気づき、それを取り除くことで大きなアクシデントを避けられるケースはたくさんあると改めて思いました。

そして、この事から思い出されたのが「ハインリッヒの法則」です。

1930年アメリカの保険会社の安全技師が論文にて発表したもので、企業等を揺るがす事故や労働災害等は、その背景にある一定割合の自覚のない、またはヒヤリとした多くの些細な事象がある、とした法則です。

その割合は、
重傷以上の事故や災害が 1件 起きるまでには
軽傷を伴う事故・災害が 29件 起きており、
更に軽微な出来事、未然の事故が 300件 あるというものです。

この法則に則って考えてみると、私の場合は、猫の病気の発症がこの29件に、また、それぞれのインシデントが300件にあたり、結果、取り返しのつかない1件に結びついたかもしれなかった訳です。これは恐ろしく感じました。

また、この安全技師はこれら労働災害全体の98%は予防可能であると指摘しています。この「1:29:300の法則」は、私たちの私生活においても、また、どの業界においても広くあてはまるものであり、数ではなく日々の些細なことへの実直な取組とリスクの種をいち早く見つけ予防することが大事だということを再認識させてくれます。

このように日々の業務において、些細な事、数が少ない事、一時的・季節的な事、特に何も意識していなかったこと等が大きな事象を引き起こす原因になりかねません。また、半端な知識や誤った経験則も危機への認識を鈍らせる事となります。

私は多くの飼育本を読んでいましたので、ある一定の知識は持っていると思っていました。しかし、死亡時の対応や病気等の悲しいページはよく読まず、猫との楽しい暮らしに関した部分だけを読んでいた様で、これらのインシデントの重なりをつい見落としてしまったのです。

「起きて欲しくないことが起こらないようにする。」

それは、何も起きていない内に取り巻く環境をマクロで観察しインシデントを探して事前に対策しておく事である程度は避けられます。一方、「心配だった事が起きる。」これは、何もしなければ、当然ですが、気付いていても「これくらいは・・・」とやり過ごしてしまう場合も多いものです。

最後に、猫は、犬同様に賢く、清潔で感情表現がとても豊かな生き物です。現在も、お店や施設に優しい方との出会いを待っているたくさんの猫たちがいますが、私は「生まれてきた命は全て幸せになって欲しい、どうか良い出会いが多くありますように」と常に願っております。

命を預かる事もお世話も大変ではありますが、それは愛情を載せて猫に注ぐ、とても穏やかで優しい気持ちになれる、思っていた以上に幸せで楽しいひと時です。人との生活に適応でき、意図を汲み取り、コミュニケーションを楽しめる猫。このコラムを通じて猫に少しでも興味を持っていただける方が増えていただければ幸いです。