コンサルタントコラム

大切なのは危機意識を共有し続けること

2011年10月12日

コンサルタント

佐藤 雅彦

皆さん、こんにちは。佐藤雅彦と申します。

3月11日の大震災から7か月が経過しました。私の郷土でもある宮城県(被災地)の友人の話では、現地では復興へ向けての動きを感じている人、そのように感じていない人とまちまちのようです。

一刻も早く、元の生活を取り戻すことが最重要であることはいうまでもありませんが、この悲惨な出来事を2度と繰り返さないことは、誰もが願うところであります。

宮城県では過去に、明治29年の明治三陸地震津波、昭和8年の昭和三陸沖地震津波、昭和35年のチリ地震津波など、多くの津波を経験してきております。そしてその都度、災害防止のための様々な策が取られてきました。堤防や避難場所などのハード面での整備や、学校や地域での教育などです。

既に他界した祖父は、昭和三陸沖地震津波、チリ地震津波を経験しております。祖父からは、年寄の戯言のように買い物の度に毎回、津波がここまできた、船が内陸のどこまで流されたなどよく津波被害の話を聞かされたのを覚えております。

私は自分が未経験の大災害もそうした祖父の話を通じて、よく理解していたのではないかと思います。

ただ今回見舞われた大震災は、祖父同様に津波を経験した人は既にこの世を去り、その災害を知らない世代に入れ替わった時に起こりました。

ハード面での対策では追いつかない、「過去の経験や教訓」といったソフト面での活用ができなかったために、ここまで災害が大きくなったように感じております。これは、せっかく対策がなされていても、危機感までは共有できていないために起こるのではないでしょうか。

過去の経験や気がついたことを対策として生かし切れないケースは、身近にある話だと思います。

私が担当している事業継続計画策定の支援でも事業分析・業務分析といった業務棚卸の過程でよく対策はあるのに長い間問題が起こらない中で形骸化し、重要なプロセスがこぼれ落ちてしまうケースが散見されます。

よく見られるケースは例えば下記です:

★代替要員が育成できていない
サーバーには非常用電源が整備され、データバックアップも取られているが、災害の際の停止方法、再起動方法、データリストア方法については前任者しか知らなかった。

★情報共有が不十分
顧客との取引にEDIを使用しセキュリティ対策やデータ保全をしているが、各顧客のパスワードは担当営業しか知らず、有事に受注状況を確認するのに無駄な時間を要した。

上記に共通しているのは、普段は問題なく業務が動いているし、きちんと所定の役割を果たしているが、有事の対応に支障が出てしまうということです。実務担当者であれば自身が突然にいなくなった場合の影響が、ふと頭をよぎることがあると思います。

多くの企業では、ミスやトラブルをなくすことを目的に業務の標準化に取り組んでいることと思います。これは過去に起こしたミスやトラブルを2度と起こさないように、対策を立て改善を繰り返すことにより未然に発生を抑えようとしていることと思います。

しかし、月日が経ち、業務標準化の過程で対策がプロセスに自然と溶け込み、過去に問題が発生したことを関係者が忘れ去り、問題経験のない人が中心になった時に、過去と同じ様な原因の問題(大事故)が襲ってくるのかもしれません。

繰り返してはいけない問題を経験した人は、経験していない人にその真意を伝えていく必要があると思います。過去の経験を伝え続けていくことは非常に難しいことを過去が証明していると思います。

過去に事実として起きた先人の経験を活かすことが必要です。