コンサルタントコラム

BCPの現場力

2012年01月18日

シニアコンサルタント

吉村 共介

シニアコンサルタント 吉村 共介
はじめまして。吉村共介と申します。

BCP策定作業では、お客様の現場を検討メンバーと点検します。事務所、ITル―ム、工場・設備、倉庫などの現場の被災リスクを全員で予測し、予防策や事業復旧策を討議します。

現場点検の際には、お客様のリーダーがBCP策定の目的趣旨を説明し現場社員の協力を要請される事があり、これにより、社員の関心が高まり、検討メンバーの一体感が強くなります。

ところで、日本企業の強さは、現場の5S、品質管理、改善活動などの現場力で支えられて来ました。

BCPの実効性も、現場関係者と一体となった現場力が必要となりますが、どのようにすれば「BCPの現場力」を高める事ができるのでしょうか。

日本の製造現場の「現場力」による課題解決の一例を紹介します。

ある工場の包装機械で、たびたび表面に引っ掻き傷が付いた不良品が出て、その度に機械を止め、技術者が呼ばれ機械調整をしていました。

工場の責任者は機械操作をしているパート従業員に不具合はどのような時に起こるのか尋ねますが詳細はわかりません。

責任者はこの従業員に、技術者が修理した箇所にタグを付けることを頼みました。1か月後に、この機械の特定箇所には沢山のタグが集中して付いていました。

パート従業員はこれを見て修理に来る技術者になぜ直らないかとはっぱを掛けます。自尊心の高い技術者は原因を突止め、不具合は解決されました。

さて、この現場の問題解決のキーマンは誰でしょうか。工場の責任者とはいえ、現場に直接関っていない人だけではこの課題解決は難しく、BCP策定時にも同じような事が起こります。

現場を点検すると、整理・整頓・清潔な職場/現場であっても落下・転倒などの危険個所が多々見つかります。現場の被災予防策、事業継続対策は、現場で常に継続されなければなりませんが、BCPリーダー/事務局だけではこれはできません。

前述の包装機械の例では現場を動かしたキーマンはパート従業員でしたが、BCPにもこうした現場力の結集、自主的な改善活動が必須です。

経営者の思いを生かすためには、トップダウンで従業員にBCPを配布するだけでなく、現場からの問題指摘/改善要求を取り込む「演習」や「現場担当者による現場のためのBCP展開」を実施し「BCPの現場力」を高めていく事が重要です。