コンサルタントコラム

ジャズのルーツと組織学習

2012年08月15日

コンサルタント

狭間 流

皆さん初めまして、狹間と申します。

本年度から、東京都BCP策定支援事業に
参加させて頂いております、
どうぞ、よろしくお願いいたします。

さて、今回は組織学習についてお話したいと思います。
ちょっと硬いテーマですがお付き合いください。

先日、久しぶりに高校の同窓会に出席しました。
その理由は、特別ゲストにジャズピアニストの
山下洋輔さんが招待されていたからです。

山下さんは、高校の同窓生ではありませんが、
幼少時代の一時期をわたしの出身地である
九州の筑豊で過ごしており、
その後、筑豊と縁が深くなり、
今回もその関係で参加してくれたそうです。
ちなみにわたしと同じ小学校を卒業しています。

山下さんは演奏活動だけでなく、
大学の教授としてジャズの講義を行っているそうで、
今回は“なぜアメリカでジャズが生まれたか”
というテーマで講演を行ってくれました。

昔、アフリカの民族がアメリカ大陸に移り住むことになった際、
北アメリカと南アメリカではその受入方が異なったそうです。
アフリカ民族は、コミュニケーション手段として太鼓を使います。
南アメリカではそれが受け入れられ、
ブラジルでは打楽器が代表的な楽器となりました。

一方、北アメリカでは、太鼓が禁止されました。
奴隷同士が太鼓で会話し、
協力して暴動を起こすことを恐れたためです。
太鼓を封じられたアフリカ人は、
自分達の音楽をヨーロッパ音楽の旋律に重ねて
(というか、隠して)演奏した結果、
見事な調和を作り出した、
というのがジャズの起源だそうです。

ジャズは偶然生まれたのですが、
このように本流に対して、
全く異質な要素を加えることにより、
強力な体制を構築できる例が、
BCP策定プロセスにおいても
あるということに気が付きました。

東京都BCP策定支援を行っていますと、
プロジェクト完了後の感想として、

「普段仕事では考えないようなことを
題材に考えなくてはならないので大変苦労した」とか、

「他部署を跨ってのプロジェクトだったので、
社内での連携意識が高まった」などと
言われることがあります。

この理由は、BCPが非日常的なテーマを題材に、
いろいろな仮説を立てながらアプローチし、
他の組織を理解し、
また、組織間の連携なくしては策定できない、
という点に起因しているためだと思われます。

実は、このように現場の作業とは違う
組織共通のテーマを題材に
問題解決を行うアプローチは、
組織の高次学習と言われる分野に相当します。
一方、日常業務において、
標準化や技術向上により
業務の効率を改善していくアプローチは、
組織の低次学習と呼びます。

組織は、通常、低次学習を主体として
生産性や利益率を高めていきますが、
環境の大きな変化には、
高次学習を取り入れてドラスティックに変革していくことで、
強い企業を形成できるのです。
どちらも必要なのですね。

この発想を汎用的に広げてみると、
例えば、自分の指示に従って、
定常業務をきっちりそつ無くこなす部下は、
重要です。

一方、自分の指示や施策に対して、
意見や代案を提供する部下は、
新たな気づきを与えてくれます。
これら2つのタイプの人材がいることによって、
それぞれの不足部分を他方がカバーできる可能性ができ、
組織はより強力になっていくのではないかと思います。

ある課題に対して、正論、定常、標準、基本などのベースに、
多角的な視点、根源の追求、破壊的な発想などを加えることで、
堅実かつ大胆で効果的な解決を生み出すことができると思います。