コンサルタントコラム

実働訓練の効果

2012年09月12日

コンサルタント

譜久村 岳彦

はじめまして、譜久村と申します。

私は前職の病院勤務時代に
BCP策定に携わっておりました。
今日はその中でも策定後に行った
大規模な実働訓練での経験にフォーカスして
お話したいと思います。
どうぞ最後までお付き合いください。

病院全体で取り組んだBCPが完成した後、
地震発生後の火災を想定した
訓練を行いました。
目的は策定した対応策の検証です。

もともと年2回の消防訓練で
初期消火・通報・避難誘導訓練を行っていましたので、
そこに追加する形で
トリアージセンター・軽症・中等症・重症の
各救護エリアと遺体安置所の設営と運営、
及び患者の搬送について
訓練を行うことにしました。

参加者は病院職員以外に消防署・消防団や区の方々、
近隣大学の学生さん等、総勢100名ほどです。

学生さんには患者になってもらい、
訓練前に患者として痛がる演技指導等も行いました。

実際の訓練は約30分ほどでしたが、
様々な立場の方に参加頂いたことによって、
かなり大規模で臨場感のある訓練になり、
おかげで多くの課題が抽出されました。

まず現場であるトリアージセンターでは、
必要な物資の準備が不十分なところがありました。
そのため本来行うトリアージに医師・看護師が
専念できない状況が発生してしまいました。

そしてトリアージが終わった重症患者が
何時まで経っても重症用救護エリアへ
搬送されなかった等の事態が起こり、
各担当の役割が不明確だったことも判明しました。

また搬送係は患者搬送後速やかに
トリアージセンターに戻るルールでしたが、
現場に即したものになっていなかったため、
決められた手順を実施することができませんでした。

一方、
災害対策本部でも混乱が生じていました。

発災直後から各部署からの被災状況報告が集中し、
今まで扱ったことのない新しい情報もあったため、
被災状況や患者の人数・氏名等の把握に
時間がかかってしまいました。

これは情報の集計方法と役割分担を
明確にしていなかったのが原因でした。

全ての情報を把握し指示命令を下さなくてはならない
災害対策本部が、情報の取り纏めに苦労した
という結果となってしまいました。

以上のような
策定時には想像できなかった課題が
いろいろと出ました。
訓練終了後、すぐにBCPに反映させ、
それを以って
病院全体へ周知するための説明会を実施しました。

そのおかげで
東日本大震災発災の際には、
院内で多少の混乱はありましたが、
スムーズにBCPが発動され、
各職員がBCPに沿って迅速な対応ができました。

病院では些細なことが命に直結するため、
比較的大規模でリアルな実働訓練が行えたことで
机上訓練では気づかなかった
細かな問題が発見できました。

そして
それを踏まえてBCPを修正したことで
同じような失敗を繰り返すことなく、
東日本大震災の折にもきちんと対応できたのだと
思います。

こういった取り組みを繰り返すことが
実効性を高めるためにはとても重要なのだと思います。

みなさんもこの秋、
実働訓練の実施をご検討されてはいかがでしょうか。