コンサルタントコラム

「自らにどんな質問を投げかけるか」ですべてが決まる

2014年01月29日

取締役副社長 兼 プリンシパルコンサルタント

勝俣 良介

取締役副社長 兼 プリンシパルコンサルタント 勝俣 良介

みなさん、こんにちは。勝俣良介です。
今回は、わたくし自身が価値を感じ、重宝している、
“短時間で上手にモノを書きあげるテクニック”をご紹介します。

そのテクニックとは、以下の3つのステップを踏むことです。

  1. 読み手を固有名詞化する
  2. 自らをカウンセリングして素材を集める
  3. 得られた素材(情報)を整理分類してつなげる
 

■ 1. 読み手を“固有名詞化”する
まずは読み手を明確化します。
このとき、具体的に、できれば特定の個人を頭に思い浮かべてください。
読者が不特定多数いる場合でも、
その中の「この人にこそ伝えたい」という1人を選ぶことがポイントです。
こうすることで、
「自分が書きたいこと」と「読み手が読みたいこと」の混同を防ぎます。

■ 2. 自分をカウンセリングして素材を集める
つぎは、モノを書くための素材集めです。
自分に質問をぶつけて、自分の中から情報を引き出します。
これは潜在意識を探るようなもので、さながら1人カウンセリングです。
たとえば……次のような感じです。

「(自分は)読み手にどう思ってもらいたいのか?」
「(自分は)なぜそれを伝えなければならないのか?」
「(自分は)どうやったら、それが達成できるのか?」

もし、どのような質問を考えればいいか思いつかないようでしたら、
たとえば以下のような工夫をしてみるといいでしょう。

  • 「そもそも」ではじまる質問を作ってみる
    (例:そもそも、なぜそのテーマなのか?)
  • 出てきた答えに「なぜ」を繰り返しぶつけてみる
  • 読み手ならどんな質問をしてくるか?と考えてみる

ちなみに、小説家の井上ひさしさんが次のようなことをおっしゃっています。

 

「(遠足から帰ってきた)小学生に
“なんでも思ったことをかきなさい”
という発言をする先生がいるが、
“思ったことを書く”のはプロでも難しい。
彼らに問いかけるべきは、
“(遠足で)何をしてきたのかを書きなさい”である。」

つまり、問いかけ方ひとつで、
文章は書きやすくもなり、書きにくくもなるというわけです。

■ 3. 得られた素材(情報)を整理分類してつなげる
情報の整理分類を行い、
残った情報を並び替えてストーリーを作り上げていきます。
この並び替えの作業に入る前と後で、守るべきポイントが一つずつあります。

まず並び替え作業に取りかかる前のタイミングでは、
素材の中から、読み手に一番伝えたいこと(結論)を抽出しておきます。
この結論を横目に見ながら、他の情報の並び替え作業を行うのです。

つぎに、すべての情報を並び終えたら、
それらに「なぜなら」や「しかし」などといった接続語をつけて、
互いを結んでみます。
これにより、伝えるべき優先順位のズレや全体の論理性をチェックできます。

モノを上手に書き上げるコツはこれだけです。
ここまでくれば、8合目まで登ったようなもので、
あとは肉付けをしていくだけです。
「1つの文章の長さを3行までに抑える」
「“いずれにせよ”という言葉を使わない」など、
もっと細かいテクニックもありますが、それは二の次になります。

ところで、かの大前研一氏は著書『質問する力』で
「何かの解決をしたければ、まず、どういう問いかけをするか、だ」
と主張されています。
井上ひさしさんと本質的に同じようなことを
おっしゃっているような気がします。
つまるところ、子供でも大人でも、アマチュアでもプロでも、
小説家でもコンサルタントでも、日報でも提案書でも、
「どんな質問を投げかけるか」でほとんどが決まるのだと。
そう考えると、今回ご紹介したテクニックは
書きモノだけでなく、様々なことに応用がきくのでは…と思うわけです。

少しでもお役に立てればこれ幸いです。

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