皆さんこんにちは! コンサルタントの林です。
このコラムでも以前ご紹介したことがありますが、
私は消防団の活動に参加しています。
先日、私の住んでいる東京都区で消防団のイベントがありました。
当区には12の分団があるのですが、
それぞれの選手チームが技能を競いあうイベントです。
私も自分が所属する分団チームのひとりとして出場しました。
制限時間内に、一般の方への指導をデモンストレーションし、
説明のわかりやすさ、指示の的確さ、声の大きさ
といった評価項目に従い、数名の教官の採点で順位を決定します。
私の所属する分団は準優勝という好成績を残すことができました。
このイベントに向けて、
各分団では教育担当の先輩が選手チームを指導します。
わが分団には、過去5年連続で入賞し、
銀4回、金1回という成果を残した凄腕の先輩が指導役として当たりました。
選手として出場する人たちには、
消防団に入りたてで救命知識がない人もいれば、高齢の方もいる。
先輩は、そんな多様な選手を一定期間の中で指導するにあたって、
やってみせ 言って聞かせて させてみせ
ほめてやらねば 人は動かじ
という山本五十六の言葉を特に意識しているそうです。
私は、どうすれば一般の方に防災活動への興味をもっていただけるか、
という興味から、行動分析学の本を読んだことがあります。
行動分析学とは人の行動の予測と制御を扱う心理学の一種で、
応用的に、人の行動を変えるための戦略をも示すことができます。
上記の山本五十六の言葉を、この学問的に分析すると、
やってみせ | → | モデリング | (模範を示す) |
言って聞かせて | → | 言語的支持 | (言葉で指示する) |
させてみせ | → | 行動 | (実際にやらせる) |
ほめてやらねば | → | 強化 | (行動をもっとするように強化する) |
人は動かじ | → | 行動 | (繰り返し行い定着させる) |
ということになります。
実際に、自身が先輩に指導していただいた体験を思い返すと、
- 実際に模範を示して理想のイメージを示してくれた
- 少しでもできるとその都度、褒め、指導してくれた
- 悩んだ際には、自分の意見も尊重し、一緒に考えてくれた
とまさに山本五十六の言葉がみごとに実践されていました。
今回のイベントでも、わが分団が準優勝できたのは、
模範を示す“モデリング”の効果が大きいと実感しています。
人の行動を変えるには、まず「やってみせ」ることが重要なのです。
消防団の活動はまだまだ一般の人への啓蒙が足りていません。
防災活動を続けている私も、
“ちょっと変わっている”と思われているかもしれません。
でも、そんな“変わり者”の活動を皆さんに知っていただくことも、
ひとつの“モデリング”だと考えるようになりました。
たとえば震災対応訓練として、早朝から分団施設に参集したり、
倒壊家屋からの人命救出訓練なども日々行っています。
先日のような大雪の際には雪かき等で出動したり、
平時でも消防車のサイレンが聞こえたときには、
その地域の消防団員が必ず出動しています。
そういった私たちの活動を知っていただくことで、
自分の家だけでなく、地域の防災についても、
ぜひ考えていただければと思います。