コンサルタントコラム

小説から始める災害の“我がこと”化

2014年06月04日

コンサルタント

山田 真司

コンサルタント 山田 真司

こんにちは! コンサルタントの山田です。

お客様のBCP策定や訓練を支援する際に悩ましいのは、
被災したことがない災害に関する資料をひもといても、
明確な被災イメージや、発災後の推移を想像するのが難しいことです。

私にとって、そんなときの頼もしい味方は小説です。
最近のおススメは、高嶋哲夫氏の『東京大洪水』という長編小説。
防災研究センターで台風の研究を行っている主人公玉城は、
超巨大台風が東京を直撃することを予知し、
防災のスペシャリストとして、東京都知事や、
荒川決壊を危惧する江東区危機管理室のアドバイザーとして、
住民の避難誘導、市街地への浸水阻止に奔走します。
避難警報に係る気象庁・都・区とのやり取りや、
自衛隊への災害派遣要請など、
現実の制度に即した内容はもちろんのこと、
災害下における様々な人間心理や人間模様の描写は、
いくら資料を読み込んでも得られないだろうリアリティをもって、
明確なイメージを私に与えてくれました。

小説には、災害をイメージするためのツールとして
次のような利点があります。

  • ストーリー展開が一貫しており、
    発災前後からの時間経過が詳細に描かれている
  • 登場人物に感情移入することで災害をリアルに疑似体験できる

ここまで読んで、
映画なら、もっと圧倒的な迫力で災害をイメージできるのではないか、
と思われる方もいらっしゃることと思います。
しかし、私が思うに、
だからこそ小説のほうが
冷静に災害をイメージするのに適しているのではないでしょうか。
映像はその作品独自の世界観を強烈に焼き付けてきますし、
主人公も、演じる俳優のイメージで固定されてしまって、
どことなく別世界の話のようです。
つまり“我がこと”ではないのです。

もちろん小説や映画にもよるとは思いますが、
小説には、映画にはない“行間”というものがあり、
読み手が自由に世界観をイメージできます。
想像力をフル活用しながら夢中で読み進めることで、
描かれた災害の恐ろしさを“我がこと”として感じるのです。
あなたも想像力を使って小説の世界にダイブし、
主人公の挑戦や冒険を疑似体験して、
イメージ力とともに勇気を養ってみてはいかがでしょうか。