コンサルタントコラム

生まれか、育ちか - 海外で活躍する「ソラチエース」

2014年11月20日

コンサルタント

南 明日香

こんにちは、コンサルタントの南です。

11月になってぐっと寒さが増し、
ビアガーデンの季節ははるか遠い昔のことと思えますが、
季節を問わず業後のビールを糧に日々職務に励んでおります。
「人は食べたもので出来ている」とも言われますが、
私の半分ぐらいはビールで構成されております。たぶん。

前置きはさておき、
青色LEDで日本人がノーベル物理学賞を受賞したという
ニュースは、この夏のビアガーデンの思い出よりは
記憶に新しいかと思います。
そして、受賞したうちの一人である、
中村修二氏が、「American citizen」と紹介されたこともあり、
日本人なのかアメリカ人なのか?という議論が巻き起こりました。
この議論は日本のお役所の思惑が透けて見えて
なかなか興味深いのですが、
この中村氏の国籍に関する議論を目にしたときに、
私は全く別のことを連想しました。

それは、ソラチエースという名のホップです。

そう、ビールを醸造するときに使用する、あのホップです。
「ソラチ」という名前で気付かれる方も
いらっしゃるかもしれませんが、
このホップは北海道空知郡で生まれました。
生みの親(?)は大手ビールメーカーのサッポロビールです。

なぜ私が、中村氏の国籍の議論から
このホップのことを思い出したのかというと、
このソラチエースも、生まれは日本ですが、
現在はアメリカのホップとして認識され、
世界中のクラフトビールメーカーから注目を浴びているからです。

なぜ日本で生まれたはずのホップが
今はアメリカのものと認識されているのか?
簡単ですが、ソラチエースの経歴をひも解いてみましょう。

ソラチエースはサッポロビールが、
札幌工場上富良野分場で開発・育成し、
1984年に新しく開発されたホップとして品種登録されました。

しかし、1999年に品種登録の有効期限は満了。
何らかの経緯で苗は海を渡り、アメリカで保存されていました。
日本では長らく注目を浴びることのなかったソラチエースですが、
2007~2008年ごろ、世界的にホップが不作となり価格が高騰した際に、
アメリカのクラフトビールメーカーを中心に注目を集めることとなりました。

その理由は、ソラチエースが少量で苦みを出せるという
特性を持っていたためです。
また、ソラチエースの個性的なアロマがウケたのか、
ホップの生産量が落ち着いた後も、その人気は衰えることはなく、
様々なクラフトビールメーカーが
ソラチエースを使用したビールを醸造しています。

開発から10年以上の年月が経ち、
注目を浴びるようになったこのソラチエース。
日本人として「日本のホップもなかなかやるだろう!」と声を大にして
主張したいところですが、世の認識は「アメリカのホップ」なのです。

現在栽培されているのがアメリカで保存されていた苗がもとになっており、
ほぼアメリカでのみ生産されているためと考えられます。

ノーベル賞を受賞した中村氏はアメリカでは
アメリカ人と認識をされているとのことですが、
海外では果たしてソラチエースを日本のホップととらえているのか、
それともアメリカのホップととらえているのか気になるところ。

グローバル化が進んだ影響で、そもそも「○○人とは何ぞや」や
「○○産とは何ぞや」といった定義が難しくなっており、
「生まれか、育ちか」というなかなか悩ましい命題を肴に、
一杯やるのもいいのかもしれませんね。

(そんな議論を吹っ掛けたところで
「ビールが美味ければそんなのどっちでもいいよ」といわれそうですが)。