コンサルタントコラム

注文のできない料理店

2015年03月04日

コンサルタント

滝沢 紀子

コンサルタント 滝沢 紀子

皆さんこんにちは。コンサルタントの滝沢紀子です。

多くの組織では年度末をむかえ、
4月から生活環境が変わるという方も
多いのではないでしょうか。

私は進学を機に上京し、早10数年が経ちました。
一人暮らしもすっかり板につき、
良くも悪くも一人の生活を満喫している状況です。

ここ数年の楽しみの一つに、
友人らと開催している「居酒屋○○」があります。
○○の部分にはそれぞれメンバーの下の名前が入り、
私の場合は「居酒屋のりこ」となります。

 

おまかせコースしかない頑固おやじの居酒屋――。

そんな催しのきっかけは、女性ばかりの職場での一言でした。

女性ばかりというのは不思議なもので、
いくら仲が良くても張り合うところがある反面、
気を抜くととことんまで気を抜いてしまいます。
私もご多分に漏れず様々な場面で気は抜けて、
たまに持参していたお弁当も同じメニューばかり。
友人などは「おにぎり」と称してラップで
くるんだ冷や飯を持ってくる始末でした。

そのような素行が起因したせいか、
ふとした会話の中で
「自分でいうほど、料理はできないのではないか」と言われ、
あれよという間に
社内にそのイメージが定着してしまったのです。

心外である!と憤慨した我々は、
不名誉なイメージを払拭するべく
汚名をきせられたメンバー一丸となって
「料理クラブ」を設立しました。

これは、基本的には手料理を持参し、
昼食時に食べるというものですが、
①メニューは他メンバーが指定する。
②メニューは作ったことがないものに限定する、
という厳しい掟を設けました。

これは、保有レシピの増強と対応力証明のためであり、
全メンバー合意の上で決定されました。
しかし、料理クラブは開催二回目にして全員脱退、
解散となってしまいました。

発足時こそ意気揚々と始めたものの、
負荷が高すぎて、到底続けられなかったのです。

その後も汚名は続き、なんとかしなくてはと焦った私は、
料理クラブに代わる新しい試みを考えました。

実は私には上記の試みとは別に、
学生時代からの友人との間で、
「お互いの家に泊まりに行った際、
料理は家主が作り、後片付けは客人が行う」
というルールを設けていました。

料理クラブは負荷が高すぎたことで続かず、
お泊り習慣は、家主の負荷が軽減されている。

このことをヒントに、
「保有レシピの増強と対応力証明」という目的を達成も加味して、
ルールは
「好きなものを作ってよい。但しリクエストは受け付けない」とし、
負荷要素を
「料理はすべて一人で用意し、かつ数品必要である」
というものに更新しました。

さらに、会場をオフィスのリフレッシュルームから
自宅に移し、アルコールを解禁としました。
これが、「居酒屋のりこ」の始まりとなりました。

結論から言いますと、結果は大成功。
お互いに「それなりに料理ができる」と自負している以上、
他メンバーよりも手を抜くことなどできません。

皆、ここぞとばかりに腕をふるうため、
大半は非常に美味しく、新しい味や工夫に出会えます。
お酒の力も多分に借りて、楽しく美味しい時間となり、
定期的な開催に至るまでとなりました。

よほどの料理好きでなければ、
一人暮らしで自分だけのために
多種の料理を作ることは難しいでしょう。

しかし、やらざるを得ない状況をあえて作り出すし、
また、楽しめる要素を加えることで
継続も可能であることがわかりました。

ちなみに、私がこれまで作ったメニューは
昨年ついに100品を超えました。
一度きりのものもありますが、
定番や得意料理に昇格したものもあります。
今や私は、料理をすることが好きだし、得意であると
自信をもって言うことができます。

ただ、惜しむらくは、かつての同僚たちとは
いつの間にか連絡が途絶えてしまい、
汚名を返上できないままですが…。