コンサルタントコラム

地下鉄の蝉に想うこと

2015年09月16日

コンサルタント

小林 利彦

コンサルタント 小林 利彦
こんにちは コンサルタントの小林です。
異常とも思える猛暑の日々がやっと終わりを告げ、
秋の気配が感じられる今日この頃です。

今回のコラムでは、今夏の奇妙な体験談をお話ししたいと思います。
お客様との打合せのため、地下鉄に乗った直後のことです。
バサバサという羽音が聞こえたかと思うと、
数人の方が座席から逃げるように立ち上がりました。
すわ一大事か! とよく見ると座席の背もたれ部分に
セミが止まっているではないですか。

近くにいた乗客のみなさんは遠巻きに見ているだけでした。
止まっている物体がセミとは分からなかったようです。
私にはそれがミンミンゼミ!であることが一目で分かりました。
ここは昔取った杵柄、素手でセミを捕まえることにしました。
飛び回っては困ると考えていましたが、観念したのか全く動かず
おとなしく捕まってくれました。

周囲からは、小さく「おお!」と驚きの声が聞こえました。

何故、このような行動にでたかを説明するには
小学校低学年時代に遡らなければなりません。
当時は博物館に展示してあるようなきれいな昆虫標本を目標に
昆虫標本つくりに情熱を燃やしていました。
特製の補虫網を作り、暇があれば昆虫採集に勤しんでいました。
当然、夏休みの自由研究は昆虫標本つくりです。

夏休みの短い期間とはいえ、7月末と8月末では
活動する昆虫の種類も変わってきます。
一日の中でも良く活動する時間帯が決まっていたりします。
自宅の周りのどの木にはどのような昆虫が集まるかは熟知していましたが、
多くの種類を採取するためには、いつ頃、どのような木や花に
どのような種類の昆虫が集まるかなど
生態を調べるのが効率的と考えました。

ところが、生態を調べていくと、
セミの幼虫は地中で2~5年も過ごしながら
成虫では1週間~1ヶ月程度しか生きられないことが分かりました。
その他の昆虫も成虫になって生きている期間が短いことが分かりました。
それ以来、昆虫採集は続けましたが、捕まえた昆虫は
その場で放すことにしたのです。
現在のオフィス(麹町)の周りでは、
ほとんどセミの声を聴くことがありません。

お客様の支援等で都会を離れ、
猛暑の中でもセミしぐれが聞こえてくると心が和みます。
都会では仕事や生活の利便性を優先させるため、
木々や土の露出を失くしてきたことが原因なのは明白です。
利便性が良い立地でビジネスができることは有難く、
その恩恵を十分に受けているのですが、
こうしてたまに少年だった頃の自分を思い出すと、
カブト虫やクワガタが一匹数百円~千円で売買されている事実に
不思議な気分になるのです。

地下鉄で捕まえたセミを何処で放すか悩みましたが、
打合せの場に持っていくわけにはいきませんし
遅れるわけにもいきません。
お客様のビルディング周囲にある植木に
“二度と地下鉄になんかに乗るんじゃないぞ!”と思いをこめながら
あの時のようにそっと放しました。