シニアコンサルタント
こんにちは、コンサルタントの辻井です。
以前のコラムでも書いたのですが、私の出身地は信州・木曽町です。
そうです。昨年の9月27日のお昼頃、突然噴火し、
57人が死亡、6人がいまだに行方不明となったままの
あの御嶽山の地元です。
私が子供のころは、中学2年生の行事で
御嶽山に2泊3日で登ることになっていました。
標高2180mの七合目までバスで行き、
そこから山頂までは3時間余り。
3000mを超える山なのに、子供でも手軽に登ることができる山でした。
数十年たった今でも、高山植物の花畑の向こうに
ライチョウの姿を見ることができた感激が脳裏に残っています。
昨年の噴火当時は、連日、マスコミを通じて様々な情報が流れ、
子供のころに慣れ親しんだ地元で起こった
大惨事に心を痛めたものでした。
さて、その御嶽山の火口周辺警報が、
6月26日に噴火警戒レベル2(火口周辺規制)に下がりました。
そして、7月1日には「山開き」も行われました。
噴火警戒レベルが下がったおかげで入山規制範囲も縮小され、
木曽町側では8合目まで、
岐阜県側では9合目まで入山できるようになったそうです。
観光以外にはこれといった産業もなく、
過疎化の一途をたどっている我が故郷・木曽町にとっては、
5月のゴールデンウィークから
10月初めの新蕎麦と紅葉のシーズンまでがかき入れ時。
噴火警戒レベルが下がったことは朗報と言えます。
しかし、これまでの9か月余りの経済状況は、
相当厳しかったようです。
5月に行われた商工会の調査では、
1~3月の売上が前年に比べて「減少」した企業が63%もあり、
そのうちの約2割が前年比で50%以上も減少していると答えています。
実際に6月末の土日を使って木曽に帰ってみたところ、
道の駅の停車している車の数が減っているように感じました。
特に、観光バスが1台も停まっていなくて、
いまだに噴火の影響は続いているということを実感しました。
確かに、御嶽山の噴火以降、日本の火山の活動が活発になり、
そのうえ火山噴火の予知はほとんど不可能に近い状況を考えると、
リスクを回避するという意味から、
わざわざ木曽路に出かけるという選択は難しいことは理解できます。
しかし、地図を見ていただければ一目瞭然なのですが、
木曽路の観光スポットは、
御嶽山から20km以上離れたところが多く,
20kmというのは、東京駅から横浜の鶴見までの距離、
つまり箱根駅伝の1区間の距離に相当しますから、
かなり離れていると考えることができます。
民謡「木曽節」にも謡われている通りの「夏でも寒い」木曽路は、
これからの夏がベストシーズン。
NPO法人「日本で最も美しい村」連合に
加盟していている自然や街並みは、
一度は訪れていただきたい絶景スポットです。
また、7月23日には、水無神社例大祭の「みこしまくり」も開催されます。
これは、毎年、白木のお神輿を新造し、
街を練り歩いたのち神輿を縦横に転がして、
最後はかつぎ棒だけになるまで壊して神社に奉納するというお祭りです。
重さ約400kgのお神輿が縦に横に転がされる姿は一見に値します。
8月には、第41回目を迎える「木曽音楽祭」や、
御嶽山や木曽駒ケ岳の麓を走る
「木曽町グレートトラバース100kmウルトラマラソン」も開かれるそうです。
一度の災害で廃れてしまうには、本当に惜しい美しい街です。
読者の皆様、夏休みを使って、木曽路を訪れてみませんか。