コンサルタントコラム

日常をゆるくつなぐもの

2016年03月30日

コンサルタント

滝沢 紀子

コンサルタント 滝沢 紀子

あっという間に2016年も3ヶ月が過ぎてしまいました。
年を追うごとに月日の移り変わりの速さを実感しています。
コンサルタントの滝沢です。

さて、4月から新生活を迎え、
実家から離れるという方も多いのではないでしょうか。

以前も同じような書き出しでコラムを
始めたような気がしますが、
今回も一人暮らしにまつわる実体験をご紹介したいと思います。

親元を離れて久しくなると、
生活に追われ実家への連絡が滞りがちになります。
そこを狙うのがいわゆる「振り込め詐欺」です。
現在、その手法は変化に富み、多岐に渡っていますが、
こちらについては定期的にテレビ等で注意喚起を促していますし、
皆さんもよくご存じのことと思います。

実は数年前、わが実家にも
「振り込め詐欺」らしき電話がかかってきました。
東京で生活している兄を騙り、
「前に使っていた携帯電話から
新しいものに変えたので番号が違う」と話したそうです。

その際、電話に出たのは父でした。

事件だか事故だかに巻き込まれた。
大金が入り用だ、という訴えに
聞いているふうを装って相槌を打ち、
最後に一言質問しました。

「前の携帯電話の番号ってなんだったっけ?」

その瞬間、切られてしまいました。
その後すぐに警察に連絡したものの、
結局犯人はわからずじまいで終わっています。

この時、父が冷静な対応ができたのは、
「この電話怪しいな?」と鼻を利かせたわけではありません。

振り込め詐欺を撃退できたのは、
父が兄と毎日メールをやり取りしていたからなのです。

その電話がかかってきた朝も、
兄からはいつもの携帯電話から日課のメールが届いていました。
もちろん、携帯電話を変えたなどという連絡ではありません。

その当時、すでに兄と父のコミュニケーションは
家族間ではすでに当たり前のこととなっていました。
母と娘ではなく、父と息子の密なメール交換。

いささか不思議に思われるかもしれませんが、
このコミュニケーションのきっかけは、
5年ほど前、父が倒れたことでした。
1ヶ月ほどで退院できたものの、
兄は心配のあまり
毎日父の携帯電話にメールをするようになったのです。

それが習慣化し定着して、現在も継続しています。
ちなみに私も同じように父にメールを送っていたのですが、
習慣化どころか3日と経たずに途絶えてしまいました。

これだけ聞くと、孝行息子と薄情な娘のエピソードに
聞こえるかもしれません。
しかしそうではなく(おそらく)、
兄と妹の成功・失敗を分けた理由は、メールの内容にあったのです。

兄のメールは極めて短く、
「今日歯医者に行く」「今から出社です」等、
発信で完結するものでした。

それに対する父の返信も
「了解」「気を付けて」といった簡素なものであり、
あまり負担がかかりません。

一方の私はというと、
メールを送る以上体裁を整えなければと思い、
何かと話題を探しました。
そのためすぐに息切れしてしまったのです。

離れて暮らしていると、
一緒に暮らしていた時には当たり前だった
コミュニケーションでさえ、「ひと手間」になってしまいます。

電話やメールの他、現在はLINE、FacebookやTwitterといった
SNSも主要なコミュニケーションツールですが、
気負わず、不必要に形を取り繕わない形とすることが、
本来の目的である継続的なコミュニケーションを
達成する秘訣ではないかと思います。

離れていても家族の状況が分かる、
「家族をつなぐ」友好的な手段として、
手抜きメールをおススメします。