コンサルタントコラム

一期二会

2016年06月26日

コンサルタント

高橋 篤史

コンサルタント 高橋 篤史

こんにちは。コンサルタントの高橋です。

職業柄、毎日のように新しい人との出会いがあります。
「今日はどんな人と会えるのだろう。」
そんな期待と僅かな不安で一日が始まります。

今回は時間を数十年戻して、
人との出会いについて振り返ってみたいと思います。

子供の頃、私は絵を描くのが得意で、
流行の漫画を巧みに模写することでクラスの人気を得ていました。
クラス替えの初日、一人で絵を描いていると自然に人が集まり、
友達作りに苦労するということがありませんでした。

雨の日の休み時間は
「あれ描ける?」「あれ描いてよ」という具合に、
周りに友達が絶えるということがなかったのです。

そんなある日、いつものように人気のヒーローを
描いて得意気になっている私を、
冷ややかに見ている子がいました。

彼は特定のグループに属するでもなく、
友達らしきものもなく大概一人でいることが多かったのですが、
不意に近づくと無言で一冊のノートを差し出したのです。

ノートには私が描いているそのヒーローが
実に躍動感たっぷりに表現されており、
それに比べると私の描いたものは
無邪気な落書きに過ぎませんでした。

皆の前でプライドを傷つけられ、
屈辱感に苛まれた私は彼に苦手意識を持ち、
それからというもの、
彼のやることなすことがいちいち気に障るようになったのです。

しかしよく考えると彼の行為は幾分幼くはあるものの、
取り立てて非難すべきことでもありません。
ヒーローの絵は彼の方が確かに上手かったし、
それに感心したのも事実です。

自分の価値観で一方的に
「イヤな奴」と決めつけていた私の方がむしろ子供っぽく、
彼にしてみれば絵を描くことを楽しむ自分に
近づくきっかけが欲しかっただけかもしれません。

そう思いながらも、こちらから話しかけることができず、
悶々とした日々を送っていたところ、
全校イラスト大会なるイベントで、
私の描いた絵が金賞をとるという出来事がありました。

放課後、彼がやってきて「お前絵うまいな」と
初めて話しかけてくれました。

「お前こそすごいよ」と今度は素直に返すことができ、
それがきっかけで、毎日互いの家に行っては
合作のストーリー漫画を描くようになりました。

大学ノートに描かれたその漫画は荒唐無稽ではありますが、
二人の異なる画風が交錯するもので、
クラス中で回し読みされ、ある時は担任の目に止まり、
小学生にあるまじき不適切な表現があるということで、
二人して職員室に呼び出されたりもしました。

彼と同じクラスで過ごした1年間は
実にエキサイティングな記憶であり、
今思い出してもわくわくするものでした。

思い起こすと、私の人生で本当に親しくなった人は、
なぜか第一印象が非常に悪いのです。
初対面で、この人とは合わないな、と確信していたとしても、
ある時ふと垣間見た、自分にない側面にベタ惚れしてしまい、
二度目の出会いが起こる。

そうすると今まで苦手だった部分が逆に魅力に転じて、
「この人のことをもっと知りたい」と
交流を深めることになるようです。

しかし、そうとわかっていても、
初対面での悪印象は自分の感性に従順であるが故の産物なので、
いかんともすることはできません。

残念ながら理解し合うことがないまま
すれ違った人達も多くいます。

大人になった今、
接触する相手も相応に大人なので、
滅多に嫌な奴に会うこともなくなりましたが、
もう一度あのわくわくするような
二度目の出会いがないものかと
贅沢な期待をしているのです。