データスペースの個別ガイドライン策定に向けて「データ連携の仕組みに関するガイドラインの手引き サプライチェーン共通編(1.0版)」を公開 IPA
経済産業省と情報処理推進機構(IPA)のデジタルアーキテクチャ・デザインセンター(DADC)は3月10日、サプライチェーンにおけるデータ連携の仕組みに関する業務・共通要件をまとめた「データ連携の仕組みに関するガイドラインの手引き サプライチェーン共通編(1.0版)」を公表しました。企業や業界、国境を横断してデータ連携を目指す幅広い産業を対象としたもので、各産業分野における個別ガイドラインの品質安定化と策定期間の短縮を支援することを目的としています。
このガイドラインの手引きは、2025年12月16日~2026年1月14日に実施されたパブリックコメントの結果を反映して作成されました。本文とともに、「用語一覧」「システム化業務フロー」「非機能要件例」をまとめた3つの附属書も併せて公開されています。
現在、カーボンニュートラルの実現や有事を見据えたサプライチェーンの強靭化に向けて、企業間でのデータ連携基盤(データスペース)の構築が急務となっています。背景には、各国の規制に未対応のままだと海外で製品販売ができない、有事の部品調達難による製造停止、海外規制を理由に営業秘密を含むデータの開示を求められる懸念など、日本の産業界に迫る「3つの危機(売れない・買えない・覗かれる)」への対応という経営上の課題があります。
こうした課題を解決するため、すでに「蓄電池の製品カーボンフットプリント(CFP)・デュー・ディリジェンス(DD)」や「自動車ライフサイクルアセスメント(LCA)」などの先行ユースケースにおいてデータスペースの個別ガイドラインが整備され社会実装が進められています。しかし、新しいユースケースごとにガイドラインを新規作成するのは少なくない負担であり、記載内容の不一致が生じることも課題となっていました。そのため、今般公開した手引きにおいて、原材料調達から製造、流通までの領域に共通する業務・機能要件を「ひな形」としてまとめました。今後は、個別のガイドラインを策定する際にはこの手引きを参照することが推奨されます。
同文書は、「ODS-RAM(Open Data Spaces リファレンスアーキテクチャモデル)」の7原則を踏襲しています。その規範に沿い、サプライチェーン領域における要件を具体化・標準化することにより、データ連携の課題と共通の原則を示しています。
特に、企業間で営業秘密を含むデータをやり取りする際、データ提供者が自らのデータに対する「データ主権」を持ち、利用相手や保存場所、利用条件を自己決定できる仕組みが重要だと記しています。このデータ主権の確保を実現するための「トレードシークレット」に関する基本方針も明記されています。基本方針を基にした機能要件の一つでは、法人番号などの共通識別子を活用して参加者の真正性を確認し、暗号化や改ざん検知によって「トラスト(信頼性)」を担保することが求められています。
一方、実際のデータ連携における業務要件として、多様な商流パターンに対応できる汎用的な仕組みの構築が挙げられています。同文書では、同一部品を複数企業から仕入れるケースや、同一部品でデータ値が異なる場合など、想定される13の商流パターンが整理されています。
また、持続可能なデータ連携基盤の運営に向けたビジネスアーキテクチャについても記されています。データスペースの運営事業者は中立・公平な立場で管理を行うとともに、安全なデータ共有を実現するため、「モデル規約」を積極的に活用することが推奨されています。