「企業IT動向調査2026」発表、維持コストとAI投資増でIT予算は過去最高水準 JUAS
日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)は、東証上場企業およびそれに準じる企業を対象とした「企業IT動向調査報告書2026」(2025年度調査)(※)を公表しました(有効回答957社)。本調査から、企業のIT予算が過去最高水準で推移していることや生成AIの急速な普及など、最新の動向が明らかになりました。
IT予算の増減を示す「DI値」は、2025年度計画で43.3ポイントとなり、2012年度以降で最高値を記録しました。DI値はIT予算を「増加する」割合から「減少する」割合を差し引いた値となり、値がプラスならIT投資が増える傾向となります。2026年度予測も39.9ポイントと引き続き高い水準を維持する見込みです。
予算増加の理由は、既存システムの更新や円安・値上げなどの不可避的な影響が大きい一方で、「AI関連の投資・利用料増加」も急上昇しています。来年度のIT予算が増加すると見込む企業に対し、その理由を複数回答で尋ねたところ、「AI関連の投資・利用料増加」を挙げた企業の割合は2025年度計画の36.3%から2026年度予測では7.4ポイント増の43.7%へと増加しました。この増加幅はIT予算増の理由として最大の伸びとなり、JUASでは近年のAI投資に対する強い意欲がうかがえると分析しています。
自社がDXを「推進できている」と評価する企業は全体の33.7%となり、2021年度の調査開始以来過去最高となりました。特に売上高1兆円以上の企業では80%を超えています。DXの目的は、従来の「既存事業のコスト削減」といった守りの領域から、「新規事業の展開」や「顧客サービス価値向上」など付加価値や成長を狙う「攻め」の領域へと着実にシフトしています。
また、業務変革の基盤として「言語系生成AI」の導入が急速に進んでいます。「導入済み」と「試験導入中・導入準備中」の合計は53.4%に達し、特に売上高1兆円以上の大企業に限ると85.1%がすでに「導入済み」と回答。企業活動における必須ツールとして定着しつつあることが明らかになりました。
情報セキュリティ関連費用がIT予算に占める割合は増加傾向にあり、今後(3年後)も高い水準での増加が見込まれています。これは、ランサムウェアや標的型攻撃、内部不正などによるインシデントが継続的に発生しており、国内企業に対するサイバー攻撃の脅威が依然として深刻であるためです。
セキュリティ強化は、企業が現在直面している経営課題の上位に位置づけられています。しかし調査結果からは、実際の企業の取り組みが脅威の発生を防ぐ「抑止」の対策にとどまっており、事案発生を前提とした「復旧」のための体制整備はまだ十分に浸透していない実態が明らかになりました。
一方で、課題を認識して動き出す企業も確実に増えています。例えばランサムウェア対策として「復旧手順の明確化」に取り組む企業は21.7%(前年度比4.6ポイント増)と大きく伸びており、有事を想定した体制整備や訓練に着手する傾向もみられました。
※企業IT動向調査報告書2026 ユーザー企業のIT投資・活用の最新動向(2025年度調査)