「データ品質マネジメントガイドブック」Ver.1.02と実務向け「チェックリスト」を公開 AISI/IPA
AIセーフティ・インスティテュート(AISI)と情報処理推進機構(IPA)のデジタル基盤センターは、「データ品質マネジメントガイドブック」のマイナーアップデート版であるVer.1.02を公開しました。新たにガイドブックを補足する「データ品質マネジメントチェックリスト」Ver.1.00(エクセル形式)もあわせて公開しました。
「ゴミを入れたらゴミが出てくる(Garbage in, Garbage out)」というAI開発における根本的な課題意識に基づき、ガイドブックはISO/IEC規格などの国際標準をベースに、AIシステムにおけるデータ品質管理(要件定義、データ収集、処理から廃棄まで)を実践するためのフレームワークを記しています。これまでのスライド形式からテキスト形式(Word形式など)に変更されました。引き続き公式文書は英語版となりますが、機械翻訳ベースの日本語参考訳が新たに提供されました。
AIへの入力直前にデータを点検するだけでは、安全で信頼できるAIサービスは実現できません。データの「計画」から「廃棄」に至る8つのステージ(※1)と、それらを常に監視・統制する「横断プロセス」の計9要素を一体として回すことで、初めて安全で信頼できるAIサービスを提供することが可能になると記しています。
他方、チェックリストは、データ品質に関わる組織横断的な取り組みを促進するため、AISIのデータ品質SWG(サブワーキンググループ)が作成した実務支援ツールです。ガイドブックが示すデータのライフサイクルに沿って、「信頼できるソースからデータを取得しているか」「入力時のエラーを防ぐ仕組みがあるか」「不適切な出力を防ぐセーフガードを設けているか」といった、現場で実践すべき具体的な確認事項(チェック項目)が整理されています。
チェック項目ごとに実装例や未対応時のリスク具体例、実施者、対象データなどに加え、EU AI法の第10条との対応関係までもが紐づけられています。EU AI法の第10条は、高リスクAIシステムに用いられる、学習(訓練)データ、検証データ、およびテスト(評価)データセットについて、データガバナンス、データ管理、データ品質、代表性(※2)、バイアス、利用文脈への適合性などを求める規定です。
※1 8つのステージとは、データ計画、データ取得、データ準備、データ処理、AIシステム(準備されたデータを使ってAIモデルを学習させ、システムを展開し運用するプロセス)、出力評価、結果提供、データ廃棄のこと。
※2 代表性とは、AIモデルが本番環境で直面する条件やシナリオを、データが適切に反映しているかどうかを指す品質特性のこと。