個人情報保護委員会は2026年7月7日、国内の民間企業や行政機関等における個人情報保護法に基づく処理状況をまとめた「令和7年度年次報告書」を公表しました。2025年4月~2026年3月に処理した個人情報等の漏えい事案の報告総数は、前年度比約7.6%減となる1万9,417件でした。
漏えい等事案の報告件数を部門別に見ると、個人情報取扱事業者等(民間企業)からの報告は前年比約10.1%減の1万7,139件、国や地方公共団体などの「行政機関等」からの報告は、前年比約16.8%増となる2,278件に上りました。なお、民間事業者からの漏えい事案(委員会への直接報告分1万3,345件)のうち、83.9%(1万1,197件)は顧客情報でした。
民間事業者(個人情報取扱事業者等)において個人情報保護委員会へ報告義務が生じるのは、①要配慮個人情報を含む場合②不正の目的をもって行われたおそれがあるとき③財産的被害が生じるおそれがあるとき④漏えい人数が1,000人超のとき――の4要件です。このうち報告件数が最も多かったのは①の「要配慮個人情報を含む」ケースであり、全体の61.9%にあたる1万603件となりました。発生原因としては、医療機関や薬局での書類の誤交付などのヒューマンエラーが目立っています。次いで報告件数が多かったのは、②「不正の目的をもって行われたおそれ」で3,822件(全体の22.3%)に上りました。
一方、行政機関等の場合は、先の4要件のうち④の基準が「100人超」と厳しく設定されています(地方公共団体の場合はさらに「条例要配慮個人情報を含む」も要件に加わります)。行政機関等においても報告件数が最も多かったのは①「要配慮個人情報を含む」ケースであり、国の行政機関等で64.9%(161件)、地方公共団体等で74.1%(1,505件)を占めました。主な発生原因は、自治体の窓口での誤交付や誤送付などのヒューマンエラーとなっています。次いで報告件数が多かったのは④「漏えい人数が100人超」のケース(582件)であり、②「不正の目的をもって行われたおそれ」は326件(国の行政機関等38件、地方公共団体等288件)でした。
報告書では、漏えいの発生元を報告者・委託先・不明の3つに分類し、原因別の内訳をまとめています。システムの運用・保守などを任されている委託先が漏えい元となったケースでは、不正アクセスが原因となった事案の割合が高く、民間事業者では328件、行政機関等では216件(国の行政機関等20件、地方公共団体等196件)報告されています。
同委員会では、国民や事業者からの疑問や苦情に迅速に対応するため、専門の相談窓口を設置しています。昨年度の「個人情報保護法相談ダイヤル」に寄せられた相談件数は、民間部門で1万9,887件、公的部門で3,637件でした。民間部門ではクラウドサービス利用時などの「第三者提供」に関する質問が最も多く、公的部門では本人の同意のない「保有個人情報の利用及び提供の制限」に関する相談が目立ちました。
報告書ではこのほか、特定個人情報(マイナンバー)に関する漏えい等事案の報告状況についても取り上げています。