政府は2026年7月14日、第2期「AI基本計画」を閣議決定しました。同計画は、2025年12月に閣議決定された「AI基本計画」の内容をさらに拡充したものとなっており、新たな基本構想も盛り込まれました。AI施策の原則は「挑戦と学習」を加えた4原則に整理されています。
基本構想では、自ら計画を立て、実行、検証、修正を繰り返す「エージェント型AI」の社会実装が、国の経済力や防衛力、技術力に直結するとして、日本社会全体のAI実装能力を強化する必要性を訴えています。また、AIの利用率や民間投資については世界各国との差が広がっている現状を踏まえ、AIの利活用・実装へ向けたインフラ投資の拡大が急務であると指摘しています。
AI開発力の強化については、日本の勝ち筋として「バーティカルAI(領域特化型)」と「フィジカルAI(AIロボティクスなど)」に重点を置くとしています。これらを社会に実装することで、製造やサービス、インフラの現場で各分野の課題を解決するとともに、「AX(AIトランスフォーメーション)」(※1)を進める方針を明らかにしました。
AXを推進する対象は、行政や産業のみならず、データ連携や標準化の効果が大きい医療や教育、防災などの準公共分野を含むあらゆる組織です。具体的には、行政においては意思決定や業務の進め方を根底から見直し、AIを前提とした制度や社会の仕組みへの継続的な変革を促します。産業においては、あらゆる分野の中堅・中小企業などを含め、AIを生産性、創造力、実行力を向上させる成長基盤と位置づけ、新たな産業構造・価値創造を生み出すという方向性を示しました。
こうしたAXの推進に伴い、「信頼できるAI」の確保に向けたガバナンス体制の強化として「責任あるアジャイル・ガバナンス」に取り組むことを掲げました。AIの技術革新が進展するにつれ、リスクも複雑化・深刻化しています。特にエージェント型AIの出現による責任の所在の曖昧化や、働き方・雇用への影響拡大、さらには高機能AIを悪用した自律的なサイバー攻撃などが懸念されているためです。
具体策としては、政府がAIを適正に評価できるよう、AI法(※2)を含めた制度の能動的な見直しやAISI(AIセーフティ・インスティテュート)の機能・体制強化が挙げられています。加えて、サイバーセキュリティ対策パッケージ「Project YATA-Shield」に基づき、高性能AIを活用してサイバー対処能力を不断に強化するほか、CBRNEテロをはじめとするテロなどへの対応を図るとしています。
※1 AIを活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
※2 「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」