2025年度の「電気通信事故に関する検証報告」を公表、「重大な事故」は前年並みの6件 総務省
総務省は2026年このほど、2025年度に発生した電気通信事故の発生状況について検証した報告書「令和7年度電気通信事故に関する検証報告」を公表しました。同報告書は、電気通信事故の再発防止を目的として、第三者の専門家により事故を分析・検証する「電気通信事故検証会議」の内容を取りまとめたものです。
総務省は、電気通信事業者に対し、電気通信事業法施行規則第58条第2項に定める「重大な事故」(※1)、「重大な事故が生ずるおそれがあると認められる事態」(※2、以下、重大な事態)、および「年度ごとに報告を要する事故」の報告を義務付けています。報告書では、これら報告に基づく事故の発生状況や発生原因の検証結果と、そこから得られた教訓がまとめられています。
同報告書によると、2025年度の「重大な事故」は、前年と同じ6件で、影響利用者数が100万人を超える大規模な事故はありませんでした。「重大な事態」は、前年度から5件減少し0件となりました。「年度ごとに報告を要する事故」は、簡易な様式による報告が26社から72,185件(前年比9,229件減)となった一方、詳細な様式による報告が143社から7,941件(前年比1,228件増)となりました。
「重大な事故」として報告されたサービスは、ビジネスチャットサービスや固定電話、携帯電話の通話・通信サービス、IP電話サービス、電子メールシステムと幅広く、利用者への影響時間が24時間に迫るケースや、海底ケーブルの破断により3週間以上に及ぶ極めて長期化したケースもありました。事故の発生原因の内訳は、人為要因が3件、設備要因が2件、外的要因が1件となっています。
人為要因の具体的な内容は以下の通りです。
- サーバー通信の要件定義時にインフラチームが招集されなかったため必要な設定が行われなかった
- ネットワーク方式部門と設計部門との認識齟齬によって、設計段階での考慮漏れが生じた
- 設備メーカーがデータセンター内の電源点検作業において、手順書にない誤った作業を実施した
このほか、データベースやネットワーク機器(L2スイッチ)のバグ、海底ケーブルの破断などは、設備要因や外的要因として整理されています。
設備要因の事例の一つであるビジネスチャットサービスの「Chatwork」では、メッセージデータを保管しているクラウド上のメインデータベース(Amazon Aurora MySQLのWriterインスタンス)が故障し、データへのアクセスができなくなったことで、メッセージの送受信を含むすべての処理が一時的に停止し、断続的にオフラインとなる事態となりました。原因はデータベース内の未知のバグと推定されるものの、詳細な発生条件や因果関係は解明されていません。この障害により、利用企業14万2,000社に23時間44分間にわたって影響が及びました。再発防止策として、データベースを機能単位で分割し、障害発生時の影響範囲を局所化する方策の検討を進めるとしています。加えて、障害の長期化を防ぐため、社内の意思決定プロセスの改善も行う方針です。
※1 電気通信事業法施行規則第58条第2項に規定する基準のいずれかに該当
※2 電気通信事業法施行規則第58条の2に規定する事態のいずれかに該当