特集は「深刻化するサイバー空間の脅威と警察の新たなる展開」、令和8年版警察白書を公表 警察庁
警察庁は2026年8月25日、令和8年版「警察白書」を公表しました。今年の特集は「深刻化するサイバー空間の脅威と警察の新たなる展開」をテーマとし、サイバー特別捜査部の成果や民間人材を活用した独自の採用施策などが紹介されています。また、能動的サイバー防御の導入に向けて今年10月に施行される「アクセス・無害化措置」の実施体制についても詳しく説明されています。
白書によると、サイバー特別捜査部は国境を超える重大サイバー事案の対処で大きな貢献を果たしています。ランサムウェア攻撃グループ「Phobos(フォボス)」や「8Base(エイトベース)」を標的とした米国・スイスなどとの国際共同捜査に参画し、詳細なデータ解析によって他国では追跡困難だった暗号資産の流れを独自に解明。運営者や首謀者の特定および逮捕へ導きました。
さらにサイバー特別捜査部は、フォボスによって暗号化されたデータを復元する「復号ツール」を独自開発し、2025年7月に国内外へ無償公開しました。復号成功率は99.9%を超え、すでに国内外で少なくとも17の被害企業において約717万件のデータ復元に貢献しています。このほか、フィッシングツール「16SHOP」をめぐる国外被疑者の初逮捕実績や、暗号資産(モネロ)を悪用した組織的詐欺の首謀者特定などの実績も紹介されています。
サイバー空間の脅威へ先制対処するため、2026年10月から導入される「能動的サイバー防御」の法整備も進展しました。2025年5月に成立した関連法に基づき、改正警察官職務執行法(警職法)に規定された「アクセス・無害化措置」が2026年10月1日に施行されます。
新規定では、人の生命・身体・財産に重大な危害を及ぼすおそれがある緊急時に限り、警察が攻撃元サーバへアクセスし、マルウェアなどの不正プログラムの消去やシャットダウンなどの無害化措置を講じることが可能となります。
手続きの適正性と個人の権利保護を担保するため、2026年4月1日に発足した第三者機関「サイバー通信情報監理委員会」による事前承認が義務付けられています。ただし、現にサイバー攻撃を受けているなど、同委員会の承認を得るいとまがないと認める特段の事由がある緊急時には、事前に承認を得ずにアクセス・無害化措置を実施することが可能です。その場合であっても、措置の実施後は速やかに同委員会へ通知を行い、確認を受ける必要があります。また、国外サーバを対象とする場合は外務大臣との事前協議が必要とされ、実際の執行は専門知識を有する「サイバー危害防止措置執行官」のみが担当します。
対処能力の高度化に向けた人材確保策として、2026年度からは高度な民間IT専門人材を「重大サイバー事案対策戦略官」として非常勤で登用する取り組みも始まっています。
白書はこのほか、2025年に開催された「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」におけるテロや雑踏事故の未然防止に向けた大規模警備活動や、近年多発する大規模自然災害に対処する災害警備活動についても記されています。