日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の被害想定を公表、死者19万9000人も対策によって約8割減らせると推計 内閣府
掲載:2021年12月27日
リスクマネジメント速報
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内閣府は12月21日、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の被害想定について公表しました。それによると、最も人的被害が多い想定は日本海溝モデルの地震で死者は約19万9000人、経済的被害額の最大値は約31.3兆円と推計しました。併せて、防災対策を講じた際の被害想定についても公表し、人的被害は約8割減らせるとしました。
被害想定は中央防災会議に設置された日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震対策検討ワーキンググループが取りまとめました。日本海溝と千島海溝、それぞれの断層モデルにおいて最大クラスの地震・津波を想定し、被害想定には、寒冷地や積雪地特有の状況を反映させました。
日本海溝モデルでは最大で約19万9000人、千島海溝モデルでは同約10万人の死者数と推計されました。地震の発生時期を冬季と想定した場合、積雪荷重によって全壊棟数が増加したり、積雪によって避難速度が低下したりするため、死者数が増加すると判断しました。なお、死者数の大半は津波による被害とされています。
経済的被害額は日本海溝モデルで約31.3兆円、千島海溝モデルで約16.7兆円と推計しました。被害額には被災地域のほか、サプライチェーンが寸断された影響など被災地域外も考慮されています。
被害想定が甚大なものとなった一方、対策を講じることによって人的被害は約8割減らせると示しました。具体的には、避難意識の改善や避難ビル・タワーの整備、建物の耐震化などが進み、効果を上げられたケースとして推計しました。他方、経済的被害については、対策の効果は日本海溝モデルで被害額は約1割減、千島海溝モデルでは約2割減と推計しました。BCPの実効性を高めることで、サービスや生産力に与える影響を小さくできるとしています。
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