取り組むべきは「CX(企業変革)×DX」、2024年版ものづくり白書を公表 経産省/厚労省/文科省
掲載:2024年06月27日
リスクマネジメント速報
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経済産業省、厚生労働省、文部科学省の3省が共同で作成した2024年版「ものづくり白書」(製造基盤白書)がこのほど経済産業省のホームページに公表されました。公表にあたっては、レジリエンス(サプライチェーン強靭化)▽グリーン(カーボンニュートラル)▽デジタル――の3つの観点から分析したことをポイントとして紹介しています。
ものづくり白書は2部構成です。基礎的データやその年の課題、政府の取り組みなどを第1部に、ものづくり新興施策の実績などは第2部に掲載されています。
この20年間で製造業はグローバルビジネス展開を急拡大させ、売上高の過半を海外市場で稼ぐ構造に変化した一方、売り上げの伸びに対し利益率は低迷しているといわれています。その背景には、経営の仕組みをグローバルビジネスに適したものへと変えてこなかったことや、ビジネスモデルの変革を意味するDXが、個別工程の「カイゼン」にとどまっているため稼ぐ力の向上につながっていないことがあるとされています(※)。そのため白書では製造業が取り組むことして「CX(コーポレート・トランスフォーメーション、企業変革)×DX」を挙げ、CXによって組織経営を仕組み化した上で、DXによる製造機能の全体最適化およびビジネスモデルの変革が必要だと示しました。
具体的には、従来はヒト・モノ・カネ・データに関する体制が国内と海外とで分断され、企業グループとして一体的な経営が行えていなかったと指摘。それぞれが個別最適化されてきたものを、グローバルで横串を通し、共通基盤として整備することが求められるとしました。DXについては今後見込まれる労働力不足や水平分業化のほか、GXを進めていくために対応は急務であると強調しました。また、産業規模でCO2排出量のデータを共有し、競争力強化を図る取り組みは道半ばだとし、産業データ連携を加速するには、企業のメリットを示す取り組みが重要だとしました。
※グローバル競争力強化に向けたCX研究会(経済産業省)の報告書「グローバル競争力強化に向けたCX研究会報告書―グローバル競争時代に求められるコーポレート・トランスフォーメーション」
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