港湾の防災・減災施策について能登半島地震の課題を踏まえてとりまとめた答申案を公表 国交省
掲載:2024年07月08日
リスクマネジメント速報
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意見公募を実施した港湾の防災・減災施策に関する答申案について国土交通省はこのほど、意見公募の結果とともに答申案をウェブサイトに公開しました。答申案は国土交通省の交通政策審議会、港湾分科会の防災部会がとりまとめたものです。
それによると、港湾は災害時に緊急物資を受け入れ、重機や資材の搬入口となったり、物資輸送の拠点となったりするため、重要な機能を担っています。能登半島地震では、耐震強化岸壁の利用を含め、港湾では緊急物資の輸送などの支援活動が行われました。ただ、整備済みの耐震強化壁は数が限られていたことや、震災後も利用できた岸壁の多くは条件付きでの運用となったため課題も残りました。
港湾の防災・減災施策に関しては、能登半島地震での教訓や近い将来の発生が懸念されている南海トラフ巨大地震や首都直下地震などを想定し課題を整理した上で、ハードとソフトの両面において施策を推進する必要があります。
そこで答申案ではハード面について災害時の海上支援ネットワークの形成のための防災拠点▽港湾施設などの耐津波性の確保▽発災後の迅速な施設復旧▽災害時の幹線物流の維持――の4つを柱に据えました。耐震強化岸壁に加え岸壁に至るまでの施設についても耐震化・液状化対策の必要性を強調しました。また、離島や半島では陸路からの支援ルートが途絶えた場合、海上ルートでの支援が地域の生命線となります。住民の避難ルートを確保する観点からも、港湾が地域防災拠点の機能を果たすよう、特に推進すべきであると記されています。
ソフト面では、港湾BCPの策定と実効性向上▽広域港湾BCPの策定と実効性向上▽迅速な施設点検・利用可否判断▽支援船などの利用調整▽関係機関との連携▽民間のリソースの活用▽情報共有ツール――の7つに整理されています。港湾BCPと広域港湾BCPについては実効性向上に向けた不断の見直しと拡充、定期的な訓練の実施が必要としたほか、先進事例を参考とした策定や見直しなども有効であると指摘しました。
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