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全業種に適用された時間外労働の上限規制徹底へ、改定版「過労死等の防止のための対策に関する大綱」を閣議決定 政府

掲載:2024年08月15日

リスクマネジメント速報

         
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政府は8月2日、改定版の「過労死等の防止のための対策に関する大綱」を閣議決定しました。新大綱では、今年4月から全業種が対象となった時間外労働の上限規制の遵守を徹底することや、過労死を繰り返し発生させた企業に改善計画を策定させるといった再発防止に向けた指導を強化することなどが明記されました。大綱は過労死を防止するための対策を定めたもの。

時間外労働の上限規制について運輸・建設・医療の3業種では昨年度に適用の猶予期間が終わり、今年4月から規制の適用が始まりました。新大綱では取引環境の適正化や医療勤務環境改善マネジメントシステムの普及促進などにより、時間外労働の上限規制の遵守徹底を求めています。

過労死を発生させた企業に対する再発防止対策を強化します。具体的には、一定期間内に複数の過労死を発生させた企業に対し、企業の本社を管轄する都道府県労働局長が「過労死等の防止に向けた改善計画」の策定を求めます。策定した計画に基づく取り組みが定着するよう、労働基準監督署は助言・指導を実施します。

このほか、重点業種に「芸術・芸能分野」が追加されました。重点業種とは、過労死が多く発生していたり、長時間労働が問題になっている業種の実態を重点的に調査するもので、これまでに自動車運転従事者や教職員、IT産業、外食産業、医療、建設業、メディア業界が調査の対象となっています。

また、今年11月に施行予定の「フリーランス・事業者間取引適正化等法」の周知や履行確保に取り組みます。また、労災保険の特別加入制度においても今年11月からフリーランスも加入できるようになり、環境整備を図るとともに、芸術・芸能従事者やフリーランスの過労死等事案についても分析を行うとしました。