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用語集

シンプソン・スケール

2017年06月16日

シンプソン・スケールとは、北中米やヨーロッパでの台風にあたるハリケーンを分類する等級です。正式には「サファ・シンプソンン・ハリケーン・スケール(英語:Saffir-Simpson Hurricane Wind Scale (SSHWS))」と言い、このスケールの開発者である土木工学技術者のハーバード・サファと国立ハリケーンセンター長官を務めたボブ・シンプソンに由来します。
 
なお、ハリケーンとは熱帯低気圧の中心付近の風速が一定速度以上に発達したものを指します。ちなみに発生する地域によって呼称が異なり、太平洋北西部で発達した熱帯低気圧を台風/タイフーン、インド洋北部・南部、太平洋南部で発達した熱帯低気圧をサイクロンと呼びます。

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各種資料を基にニュートンコンサルティングにて作成

シンプソン・スケールの等級

シンプソン・スケールは以下の表の通りにカテゴリー1からカテゴリー5の等級によって分類されます。ご覧の通り、カテゴリーが一番規模の小さいハリケーンになりますが、中心付近の風速が64ノット(約33m/s)以上になる熱帯低気圧になって初めてハリケーンと呼ばれることが分かります。また、中心気圧については980hpa以下、高潮については1.2m以上でハリケーンとして定義されます。

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各種資料を基にニュートンコンサルティングにて作成

なお、アメリカ観測史上最大級の被害をもたらしたハリケーン・カトリーナは、ルイジアナ州上陸時でカテゴリー3に分類されます。(最大時で中心付近の風速が約152ノットでカテゴリー5)ちなみにカトリーナと同程度の台風は平成23年の台風15号で、中部から関東地方にかけて多く死傷者を発生させました。

ハリケーンとそれ以外の熱帯低気圧の違い

シンプソン・スケールはハリケーンにのみ用いられる等級であり、それ以外の熱帯低気圧には、各地の観測機関ごとに等級が用いられます。

前述の通り、ハリケーンの場合は、64ノット(約33m/s)でしたが、台風の場合は最大風速34ノット(約17.5m/s)未満では熱帯低気圧、34ノット以上で台風と定義され、その中でも風速によって「強い~猛烈な」に分類されます。ただし、この台風を国際基準で見た場合、最大風速64ノット(約33m/s)未満は、熱帯暴風雨と表現され、64ノット以上でタイフーンと定義されます。
ちなみに国内過去最大の台風は昭和41年の第2宮古島台風であり、最大風速が約166ノットでした。
 

【台風/タイフーンの分類】

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各種資料を基にニュートンコンサルティングにて作成

続いてサイクロンの等級ですが、観測エリアが広いこともあり北インド洋、南西インド洋、オーストラリア周辺などの観測機関でそれぞれ異なる等級が使用されています。またその等級の数も様々で、2~7つに分類されています。それらの等級については、多くの場合タイフーンとハリケーンのものを組み合わせた表現が使用されています。

シンプソン・スケールの活用上の注意

ハリケーンの強烈さを最低中心気圧と定義した場合、観測史上最も中心気圧が低かったのはハリケーン・ウィルマで、最大勢力時のスケールはカテゴリー5、中心気圧は882hPa、被害総額は294億ドルでした。
尚、2005年にルイジアナ州ニューオーリンズに莫大な被害を与えたことで有名なハリケーン・カトリーナは、中心気圧は902hPaで観測史上6位ですが、被害総額は1080億ドルにも上りました。
 
このことからも分かる通り、シンプソン・スケールのカテゴリーが上位であるものが必ずしも被害の規模や被害総額が大きくなるとは限りません。これは、本スケールには降雨や位置の評価が入っていないためです。従って、シンプソン・スケールのカテゴリーだけで具体的な被害を予測することは困難であると言えます。
 
仮にカテゴリー5のハリケーンが発生した場合でも、人や施設が閑散とした地域であれば被害は少なくなり、逆にカテゴリー3程度のハリケーンであったとしても、人口密集地や港湾あるいは工業地帯であれば甚大な被害を及ぼす可能性が高くなります。また、実際にはハリケーンそのものによる影響に加え、豪雨、高潮による洪水氾濫や浸水の被害を想定することも必要となってきます。

海外拠点を持つ企業の備えに

当然ながら、海外に拠点を持つ企業は、災害時の初動手順策定を進める際にこうしたシンプソン・スケールのような基準を積極的に考慮することが望まれます。地震における震度と同様にその脅威を認識する有効な指標であることには変わりないため、他の気象情報と併せてチェックし、被害に備える事が重要です。

(文責:賀山 智彦