-事業内容を教えてください。
当社は三洋電機製品の代理店として、冷凍冷蔵設備、空調設備等を取り扱っており、関連する設備の設計・施工から販売アフターフォローまでの業務をトータルに展開しています。さらに施工時には配管工事も行っており、建設業に分類されます。近年は、インフルエンザ対策にも有効な空気清浄器も取り扱っています。また、太陽光発電設備、ゴルフカートレンタルにも参入し、多角化を図っております。
今回BCP策定に取り組まれた理由を教えてください。
今回当事業に参加したのは、東日本大震災を経験してBCP策定の必要性を感じたからです。東日本大震災では、帰宅困難者が発生した程度で、被害らしい被害はなかったのですが、それでも外出者の安否確認に四苦八苦しました。これでは首都圏で大地震が発生した場合には対応できないとの強い危機感を覚え、事業継続の重要性を痛感しました。
これまでビルの防災訓練などには参加し、対策としてヘルメットや避難はしごは用意されていますが、自社独自に特別な対策は行っていませんでしたので、そうした点についても併せて検討したいと考えました。
-策定されたBCPの内容を教えてください。
当社は大型の冷凍冷蔵設備の設計・施工・メンテナンスまでを食料品関係のお客様に対して行っており、今回これをBCPの対象事業としました。その中でも特にメンテナンス業務は、災害時の食料品の供給をサポートすることにつながるため、通常業務より重要であると考えております。そのため災害時には、新規受注はもちろん、施行中の案件も一時ストップさせ、被害を受けた設備の復旧に全力を挙げることにしました。
まず発災直後からお客様の被害状況を確認します。そのためには人員と通信手段が必須となるのですが、発災直後は通信手段も制約を受ける可能性があります。今後は複数の手段を検討する必要がありますが、現段階では携帯電話をメインに一報を入れることにしました。
そして状況がわかったお客様から順次メンテナンスに向かうのですが、この段階ではさらに人員の確保が必要となるため、協力会社との連携によって必要な人員を確保できるよう、協力会社への要請をしていく必要があると考えております。最後にこの緊急対応がひと段落した段階で、通常業務にも対応できるようにします。
対象事業 | 冷凍冷蔵設備メンテナンス |
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対象リスク | 東京湾北部地震 |
被災シナリオ | ・社員負傷計5名 ・社内乱雑化 ・タワー駐車場停止、出庫不可 ・倉庫倒壊 ・サーバ破損 |
対策 | ・協力会社を含む安否確認手段の構築 ・各種耐震対策 ・平地駐車場使用 ・主要顧客への緊急連絡 |
-何か新たな気付きはありましたか?
これまで、災害についてほとんど考えることをしてこなかったため、被災を想定すること自体に大変苦労しました。実際に被災シナリオを想定してみると、まったく対応できていないことが明らかになり、被災シナリオを想定する重要性がわかりました。
緊急連絡網も整備しているつもりでいましたが、携帯電話番号しか考慮していなかったため、検討していく中で、実際には役に立たないことがわかりました。東日本大震災後にはガソリンを給油するのに苦労して、ガソリン確保の重要性は充分わかっていたのですが、日頃から早期給油することが有効であるということを再認識しました。
-BCPを策定した感想をお願いします。
当社の業務は食料品販売を支える、大変に重要な業務であることを改めて実感し、いち早く復旧することがすなわち、社会貢献であることを再認識しました。
組織的な指示命令系統についても重要性は理解していましたが、今までは具体的運用までは深く考えていなかったように思います。今回の策定で災害時に電話が使用できない場合には、携帯メールや災害伝言ダイヤル等を絡めて考えるというような具体的な検討をすることができました。
今までの当社には危機対応のマニュアルはありませんでしたが、BCPを策定してみて、緊急時に書面に書かれたものを見て対応することの重要性が良くわかりました。