AI/DX/デジタルリスク管理

デジタル技術が基盤となる社会へ

近年、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)といった様々なデジタル技術の進化により、グローバル規模で大きな変革が生じています。例えばドイツでは「Industrie4.0」、中国では「中国製造2025」といったように世界各国がデジタル技術を活用した自国の将来的に目指す姿を描き、日本は「Society5.0(超スマート社会)」というデジタル技術を活用した新たな社会を構想しています。

「Society5.0」とは、狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く新たな社会を指しており、ICT(情報通信技術)やクラウド利用が本格化したSociety4.0からさらに一歩進歩した、IoTで人とあらゆるモノがネットでつながり、様々な知識や情報(ビッグデータ)が共有され、AIが分析を行う今までにない新たな価値を生み出す社会を指しています(図表1)。

【図表1:Society4.0からSociety5.0へ】
【図表1:Society4.0からSociety5.0へ】

デジタル技術を通じた企業の変革(DX)

日本全体が「Society5.0」を目指していく中、経済産業省と東京証券取引所がデジタル技術を導入して企業価値の向上に取り組む企業を「攻めのIT経営銘柄」と高く評価し、企業に対してもAIやIoTなどのデジタル技術を通じた変革が求められています。このように組織がデジタル技術を通じて顧客に対して新たな付加価値を創造したり自社内の生産性を向上させたりすることがデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)です(図表2)。

【図表2:企業がDXを通じて達成したいこと】
【図表2:企業がDXを通じて達成したいこと】

DXにおけるリスク(デジタルリスク)

多くの企業がこの時流に乗り遅れまいとDXに取り組んでいますが、大きな変化であればあるほど、リスクも大きくなります。
具体例でみてみましょう。下記2つはDXを通じた組織変革に着手し、成功裏に終わるかと思われたものの、失敗に終わりました。

【DX事例1】
採用活動において応募者と企業とのミスマッチの減少や人事部門の負荷軽減を目的にAIを導入。過去の履歴書等の情報を機械学習させて、AIの判断のもと、適切な人材を獲得し、人事部門の工数の大幅な削減を目指す
【DX事例2】
自組織の小売りサービスと連携させたオンライン決済サービスを開始。既存ビジネスとのシナジー効果が期待でき、CXの向上を図る

これらは一見すると、データとデジタル技術の活用によって新たな価値を生み出すことに成功しています。
しかしインシデントが発生します。

【DX事例1の末路】
AIを導入したが機械学習させるためのデータに偏りがあり、男性に極端に偏った採用となった。公平性を欠いた男女差別につながると判断し活用を終了した
【DX事例2の末路】
自組織のサービスと連動したオンライン決済サービスを開始したが、脆弱性による不正アクセスが発覚し、最終的にはオンライン決済サービスから撤退した

デジタルリスクに対して企業が対応すべきこと

組織はDXを推進しないと生き残れない一方、たとえDXが結実してもその足元でリスクにとらわれてしまっては本末転倒です。
DXを通して組織の変革を遂げるには、デジタル技術のリスクマネジメント(以下、デジタルリスクマネジメント)を実施することが最重要タスクの一つです。デジタルリスクには従来のリスクマネジメント手法とは異なるアプローチが必要であり、特にデジタル技術の特徴を理解した上で、その技術特有のリスクを見極める必要があります(図表3)。

【図表3:デジタルリスクとそれに対して企業が対応すべきこと】
【図表3:デジタルリスクとそれに対して企業が対応すべきこと】

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