-事業内容を教えてください。
1985年に創業し、「お客様第一主義」を徹底し、お客様のご要望に沿った安心して使えるソフトウェアをご提案できるよう、努力し続けることを経営理念としています。
現在ではアウトソーシング事業を中核として、システムインテグレーション、コンサルティング、関連機器販売事業を行っています。特にアウトソーシング事業では、情報システムの維持管理、業務支援・技術支援、ヘルプデスク、各種データ入力など多岐にわたった業務をご提供しております。また作業もお客様先と自社内の両方で行っています。
-今回BCP策定に取り組まれた理由を教えてください。
過去にパンデミックに対するBCPを策定しましたが、連絡網程度の整備で実際に活用されたことはありませんでした。このたびの東日本大震災を契機に本格的にBCPの構築を考えていたところ、東京都の支援事業があることを知って応募しました。
また、今後お客様から災害発生時の取組についての説明を求められることが想定されることもBCP策定の理由です。
-策定されたBCPの内容を教えてください。
当社の中核事業であるアウトソーシング事業では、システム運用・保守・改善をご提供しており、今回想定した地震災害時にも素早くサービスを再開し、お客様に安心してご利用いただけるようにすることが当社の使命であると思っています。そのため対象業務の最大許容停止時間は24時間、目標復旧時間を12時間と厳しい目標を設定しました。これを実現するための重要な経営資源は人と道具、すなわちIT機器であり、この2つに重点を置いて検討しました。
まず人ですが、通常は業務ごとに担当者がおりますが、緊急時にはグループ内でカバーし合う体制にするようにしました。
次にIT機器は損傷などで使用できなくならないよう予防策を徹底的に行い、次に使用できなくなった場合の対策を講じるようにしました。また、目標復旧時間までの停電対策として短・中期の対応策についても立案し、計画を作成しました。
対象事業 | アウトソーシング事業 |
---|---|
対象リスク | 東京湾北部地震 |
被災シナリオ | ・本社勤務社員の5% が負傷 ・本社サーバ10台中4台損傷、使用不可 ・PC30台中6台損傷 |
対策 | ・グループメンバーによる相互支援(業務継続) ・IT・諸設備の転倒、倒壊に対する防止策の実施 ・(将来的な)代替策の検討 ・マネジャーにて代替担当者をアサイン ・IT機器の動作確認、修理依頼、オンサイトに移動して対応 |
備考 | ・IT予備機、予備電源の確保については今後検討する ・お客様との調整次第で他の案についても検討していく |
-苦労されたポイントはありましたか?
今回BCP策定の対象事業としたアウトソーシング事業の維持管理業務では、半数の社員はお客様先で、半数は社内でお客様と専用回線を利用して業務を行っています。そのためまずはお客様先で業務を行っている社員の安否確認と移動手段の確保をいかに迅速に行うかが問題となり、電話・メール等による早期連絡、交通機関の復旧や道路規制の解除までの間の対応方法に苦慮しました。
もう一つ苦労した点は、電力供給の停止や通信インフラが機能しない中、いかにして12時間以内に業務を再開するかということです。特に電力については自社ビルではないため、発電機も含め自家発電は容易には設置が難しい環境の中で、どのようにサービスを再開・継続できるかの検討に時間をかけました。議論を重ねるうちに参加者からいろいろな意見が出て、その中からいくつかの解決手段が見つかりました。まずはすぐに実施できることからはじめ、少しずつ完成に向けて取り組んでいこうと考えています。
以前、自社でパンデミック用に作成したBCPが連絡網程度であったことから考えると相当に進んだBCPとなり、大きな前進であると同時に収穫でありました。
-BCPを策定した感想をお願いします。
発災時の緊急対応、危機対応から事業継続対策まで策定することができ、また一つ一つの経営資源ごとに脆弱性やその予防・低減策、事業継続対策を検討する過程でこれまで気がつかなかったことも多くありました。集合研修での説明や、最後に行った演習を通してPDCAの重要性を理解することができました。今回は社員の一部のメンバーで策定しましたが、社員全員に周知徹底すること、演習を行うことで見直し、改善を図っていきたいと思います。