-事業内容を教えてください。
当社は昭和41年に田島燃料販売株式会社として設立、LPガスの販売を始め東京ガス様との代理店契約や各種協業を行ってきました。「お湯と発電」をテーマに、環境にやさしく便利で経済的なエネルギーと設備機器を提案するとともに、設計・施工・アフターサービスまで一貫して手がける総合エネルギーサービスを立川地区をはじめ、主に多摩地区のお客様にご提供させていただいています。また平成22年8月には給湯暖冷房設備工事、東京ガス内管工事及びLPガス内管工事の設計・開発・施工においてISO9001認証を取得しました。
-今回BCP策定に取り組まれた理由を教えてください。
個別災害発生時には決められた活動や連絡体制は持っていますが、広域、同時多発の災害対策は十分ではありませんでした。東日本大震災では、当社には大きな被害はありませんでしたが、被災地の状況が判明するにつれ、絶望感に襲われたものの、それでも何か準備しなくてはとの思いが強くなりました。
首都圏でも自動車の燃料不足が問題になったり、社会インフラの機能の問題が浮上したりした状況の中で、一般家庭にはもちろんですが、病院、学校、公共施設などにガスや水道などを供給するという、生活に必要な社会的責任の強いサービスの一端を担っている以上、早期復旧する責務があると強く考え、策定に取り組みました。
-策定されたBCPの内容を教えてください。
都市ガスを利用できないお客様にとってLPガスは、都市ガス同様に社会インフラであり、その供給責任を考慮し、LPガス供給事業をBCP策定の対象としました。
今回は特に需要の多くなる冬場を想定し、目標復旧時間は3日と設定しました。LPガスを供給するためには資格を持った人員、莫大な顧客情報、LPガス保管施設、運搬する車が必要であるため、これらについてかなり時間をかけて議論しました。
まず人員については、LPガスは危険物のため運搬などの取扱には資格が必要であること、またお客様からの問合せに対しては危険を避けるための案内の徹底が必須であること、こういった要件を満たしつつ、迅速・適切に対応するための呼集、動員対策を考えました。次に顧客情報や施設については最悪のケースを想定した上で予防・低減策に重点を置き、車については稼働可能な車の管理や配車、燃料確保、運行経路などについて検討を行いました。
対象事業 | LPガス供給事業 |
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対象リスク | 東京湾北部地震 |
被災シナリオ | ・立川本社、八王子営業所とも室内が散乱、被害甚大 ・業務用自動車は34台中12台使用可能 ・IT機器関連はすべて使用不可 ・ガス充填所は使用不可、ローリーも交通規制により運行不可 |
対策 | ・要員の確保 ・PCデータのバックアップの取得・管理 ・ボンベ転倒防止 ・稼働要員による組編成(20班)、当該地点への派遣 ・内勤応援要員の確保 ・使用可能車両の確認、燃料残量チェック ・充填所内作業可否確認、使用可能充填所の選定 |
-何か新たな気付きはありましたか?
集合研修ではBCPの全体イメージが良くつかめず不安を抱えてのスタートになりましたが、2回目以降は個別コンサルということもあり全員が積極的に会議に参加できるようになりました。また、経営資源分析を通して各経営資源の脆弱性を改めて理解することで予防策が明らかになり、事業継続策を検討していく中で、より具体的に何をすれば良いかがわかってきました。
緊急対応や危機対応の検討を通して、平時と非常時の常識の違いも明確になったことは有意義でした。今後は重要取引先との被災時の具体的対応についても検討していきたいと思います。
そして最後に被災シナリオを想定した演習をすることで策定したBCPの検証ができ、今後の改善に向けてより一層の理解を深めることができたと思います。
-BCPを策定した感想をお願いします。
BCP策定の過程では、これまで気が付かなかったことも多くありました。そんな中でも本計画は本当に実行可能な対策になっているかを数回見直したこともあり、初めてのBCPとしては良くできたと思います。今回は社員の一部のメンバーで策定しましたが、社員全員に演習を含めて周知徹底することで今後見直し、改善を図っていきたいと考えています。最後に、当事業を提供いただいた東京都と支援をいただいたコンサルタントの皆様に感謝いたします。