事例紹介: 株式会社知財翻訳研究所(現:株式会社知財コーポレーション)

株式会社知財翻訳研究所 代表取締役社長 浜口 宗武氏

特許翻訳を継続し、
出願人企業の知的財産を守る

株式会社知財翻訳研究所 ロゴ

代表取締役社長 浜口 宗武氏

想定リスク: 東京湾北部地震
業種: 不動産業・サービス業・学習支援業

-事業内容を教えてください。

国際特許の申請時に不可欠な特許申請明細書など知的財産関連文書を専門に扱う翻訳会社です。従来、国際特許の申請は欧米向けが中心で、私たちの仕事も日-英の翻訳がほとんどでしたが、近年は中国語をはじめアジア言語への翻訳需要も増えています。特許翻訳には、語学力のほか技術面・法律面でも高度な専門性が求められますが、当社は正社員翻訳者による社内翻訳体制をもち、強く広い権利を表現する高品質翻訳をご提供しています。

-今回BCP策定に取り組まれた理由を教えてください。

一昨年に制震ビルにオフィスを移し、有事の初動対応の文書化も行っていました。しかし東日本大震災をきっかけに、被災下で事業を継続することの困難さと重要性を改めて認識し、有事の初動対応だけでは不十分と考え、BCP策定の取組を開始しました。知的財産は大企業にとってももちろん重要ですが、中小企業にとっては時として会社の将来の生命線ともなる貴重な資産です。このような重要な資産をお客様からお預かりする立場として、専門家の助言を受けて実効性の高いBCPを作ろうと、東京都の募集に応募しました。

-策定されたBCPの内容を教えてください。

地震を想定し、①社員及び関係者(家族、協力翻訳者、協力会社等を含む)の安全確保と支援②社業を安定・維持し、顧客への責任を果たす③地域社会・周囲への貢献を目的にBCPを策定しました。対象は、当社の一番の柱である「特許出願用日英翻訳(図面作成を含む)サービス」です。本サービスには高品質と納期厳守が常に求められており、それらが守れないと特許権取得の可否に影響を及ぼす可能性があります。被災下で事業を継続するには仕掛データと経験豊富な人材が重要と考え、対策を検討しました。

事業継続策としては、各担当チームでは案件状況の早期把握を行い、システムのバックアップデータをサーバからノートPCにつなぎ替えたBCP(緊急用)システムや携帯メール、自社ウェブサイトにて早期に第一報を発信します。それから関係者間で状況説明、納期調整、担当者変更などを行った上で、案件の作業優先順位に従い納期厳守を実現します。

対象事業 翻訳事業/特許出願用日英翻訳(図面を含む)サービス
対象リスク 東京湾北部地震
被災シナリオ ・社内ITインフラ及びPCメール使用不可
・被災当時社長・専務は外出中
・サーバのHDDが破損
対策 ・BCPシステム、社内外関係者との緊急連絡網の構築
・主要取引先との事前対策の合意形成
・緊急業務復旧における役割分担・協力体制の明確化
・社内及び社外関係者との緊急連絡実施
・ファイル(紙)の整理による案件状況の早期把握
・業務経験者らによる部門間支援
・バックアップシステムからの復元と予備機への切替

-苦労されたポイントはありましたか?

特許翻訳は、1件1件異なる内容を、高度の専門性を備えた担当者が行うものですので、そう簡単には代わりが利きません。それでも被災時に事業を継続するためにはどんな準備が必要か、という点が悩みどころでした。そのため、現場のリーダーたちが策定プロジェクトメンバーとして長時間の検討会に毎回フル参加し、検討会後も業務の見直しや対策の詳細な煮詰めを繰返し行いました。短期集中での策定となり、通常業務で忙しい中、メンバーもその周囲の社員も大変だったと思いますが、皆非常に前向きに取り組んでくれました。

嬉しかったのは、メンバー全員がそれぞれの立場で、事業継続に対する強い問題意識を既に持っていたことです。事業継続のキーとなる業務が何なのか、どこに脆弱性がありそれをどうカバーするのか、「他人任せではなく自分が責任者として取り組む」というメンバーの強い意欲に接し、このタイミングでBCP策定に取り組んで良かったと思いました。

-BCPを策定した感想をお願いします。

現場のリーダーたちと話し合いながら一つ一つ認識の共有を図っていったため、経営陣の思いと現場の現実的な視点の双方を反映したBCPが策定できました。策定したBCPの内容・方針を全社員に周知し、また定期的に演習を行って各自の練度を高め、組織としてより迅速な対応ができるようにしていきたいと思っています。また、今後は、今回対象としなかった事業についても検討を進め、全社一体としてのさらなる事業継続能力向上を図っていく所存です。

株式会社知財翻訳研究所 BCP策定プロジェクトメンバーの方々

関連サービス詳細

プロジェクトメンバー

代表取締役社長 浜口 宗武 氏
専務取締役 冨田 修一 氏
知財事務C長 長谷川惠美 氏
品質管理・教育C QCG長 中村 友美 氏
知財事務C 総務G Tマネジャー 東 直幸 氏
知財翻訳C 翻訳IT Tマネジャー 伊達 直俊 氏
知財翻訳C 翻訳事務G Tマネジャー 野村はるな 氏
同 チェック・納品 Tサブマネジャー 野島 英朗 氏
同 電子データ処理 Tマネジャー 山上美智子 氏
同 出願図面 Tマネジャー 高崎 晶子 氏
企画調整G 迫田 直子 氏
会社情報
称号: 株式会社知財翻訳研究所
本社所在地: 東京都新宿区西新宿6-10-1 日土地西新宿ビル7F
設立: 1976年12月
資本金: 1,000万円
従業員数: 79人
代表者: 代表取締役社長 浜口宗武
事業内容: 知的財産関連書類の翻訳(情報サービス業)
URL: http://www.chizai.jp

(2012年3月末日現在)

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