事例紹介: 荏原商事株式会社

荏原商事株式会社 代表取締役 島田 薫氏

緊急を要する
水道施設の早期復旧に向け体制を整備

荏原商事株式会社 ロゴ

代表取締役 島田 薫氏

想定リスク: 東京湾北部地震
業種: 建設業

-事業内容を教えてください。

当社は、上下水道施設をはじめとして、揚排水機場施設、河川浄化施設等、水に関する施設の機械・電気及び計装監視設備など、プラント全体のエンジニアリングを主に行う建設工事会社です。水道施設関連工事においては特に実績があり、首都圏エリアでは、各自治体の水道局等が主なお客様で、施設の提案及び設計・施工並びにその設置した設備のオペレーション・メンテナンス業務までを承っております。また荏原製作所の代理店としても65年の歴史があり、ポンプをはじめ送風機・環境機器等の販売も行っています。

-今回BCP策定に取り組まれた理由を教えてください。

当社では数年前よりリスクマネジメントの計画・実施をするに当たり、地震の発生が特に高いリスクであるという認識を持っていました。しかしその時点では具体的なBCPの策定までには至りませんでした。直後の東日本大震災発災時、場当たり的な対応しかとれず緊急対応体制も満足に組めないという苦い経験をし、会社存亡の危機を感じました。当社は上下水道施設の設備を扱っている以上社会インフラの一端を担っているという自負心より、発災直後に激増が予想される緊急対応に対する体制整備が必要と考え、今回この事業に申し込みました。

-策定されたBCPの内容を教えてください。

当社は社会インフラである上下水道施設のうち特に緊急性を要する水道施設(取水施設・浄水施設・配水施設)に障害が発生した場合の緊急対応として、平時においても現場に急行し応急処理を実施しています。今回、震源地を特定せずに関東全域の地震を対象リスクとしてBCPを策定しましたが、災害発生時に各自治体から殺到すると想定される緊急コールへの対応業務を実施するための対策を検討しました。

被災直後の道路・公共交通機関・通信の状況を勘案し、受付業務の開始は発災から2時間以内、担当振分けは発災から4時間以内、現場までの移動も含めて発災から8時間以内には一次対応を行う目標を立てました。

まず、受付業務においては、発災直後に顧客からの連絡を待つだけではなく、当社からも発信できるように顧客リストを整備しました。また、平時の受付場所である本社・東京支社の電話使用不可を想定し、第2、第3の拠点となる中部支社・北陸支社に顧客リストを配備して、受付業務を代行できる体制を検討しました。中部支社・北陸支社から本社・東京支社への連絡手段としては、災害時でも比較的利用可能なインターネットメールやSNSを検討しています。

現場に赴いて応急処理を行う人員の確保については、まず機械分野・電気分野等における社員の対応可能なスキルの調査を行い、自宅から現場までの距離をマッピングすることで、協力会社も含めた有事の担当の割振りを検討しました。対象施設までは車両で移動し、故障の場合に備えてレンタカー会社との契約締結も検討しました。また、移動中に収集した道路・橋梁等の被災状況は全社で情報を共有することとします。応急処理には施設の施工図面や設計図面等が必要になりますが、既に顧客施設に納品・保管されている完成図書の参照を原則としました。

対象事業社会システム事業(公共)
対象リスク地震
被災シナリオ・ 社員60%出社不可、30%負傷
・ 車両3台使用不可
・ 携帯電話の回線輻輳、バッテリー切れ
予防・低減策・ 顧客リスト整備
代替策・ 社員の対応スキル、自宅から現場までの距離に基づく担当割振り
・ 社員が対応できない場合、協力会社が現場へ急行
・ レンタカー会社と緊急時対応契約を締結し車両を確保
・ 中部支社・北陸支社で緊急コール代行受付を実施

-苦労されたポイントや、新たな気付きはありましたか?

BCP策定では、検討項目が非常に多くて具体的に何を選択していいかもわからず、策定メンバーから意見を出させるまでに苦労をしたところです。

社会インフラに係わる業務をしていながらBCPの策定にまで至ってないことは当社の弱みでしたが、今回の策定で、有事の際の目的意識・具体的な行動など社員一丸となり実行できるものと感じています。今後は、地域の被災想定を踏まえながらBCPを全社展開していくことが課題となります。これからも社内の知恵を集めて実効性の高いBCPに進化させていきたいと思っています。

-BCPを策定した感想をお願いします。

今後は関東のどこで地震が発生しても、策定したBCPに沿って行動をすることで、場当たり的な判断ではなく、事業継続に向けた判断や行動を起こせると思います。当社ではもともと備蓄品を準備しており、現場に赴く社員にはヘルメットを配備していましたが、今後は社内にいる従業員全員へのヘルメット配布及びBCPに沿った備蓄品の充実を検討しています。災害時でも社員を守ることが会社を守ることにもつながっていくと信じています。

荏原商事株式会社 BCP策定プロジェクトメンバーの方々

関連サービス詳細

プロジェクトメンバー

代表取締役島田 薫 氏
取締役濱野 克彦 氏
執行役員 管理統括中野 伸之 氏
管理統括部総務課山田 正樹 氏
執行役員 事業統括井上 宗篤 氏
事業統括部倉橋 幸寿 氏
執行役員 エンジニアリング統括白栄 光 氏
エンジニアリング統括部志水 十九夫 氏
執行役員 東京支社長西村 勝幸 氏
東京支社西田 昭男 氏
東京支社寺崎 幸司 氏
会社情報
称号: 荏原商事株式会社
本社所在地: 東京都中央区銀座6-6-7
設立: 1948年5月
資本金: 2億円
従業員数: 375人
代表者: 代表取締役 島田 薫
事業内容: 上下水道施設等の設計・施工・メンテナンス業務
URL: http://www.ebasho.co.jp

(2012年12月末日現在)

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