事例紹介: 株式会社小沢組

株式会社小沢組 代表取締役 猪飼 昭彦氏

有事の小口緊急工事依頼に
迅速対応し、地域に貢献

株式会社小沢組 ロゴ

代表取締役 猪飼 昭彦氏

想定リスク: 東京湾北部地震
業種: 建設業

-事業内容を教えてください。

当社は建築一式工事を請負う総合建設業で、大正7年の創業以来、永きにわたり練馬区を中心に地元密着で事業を行ってきました。当社は、現場施工管理者という立場で設計から工事・検査・引渡にいたる全工程を企画・調整・指導監督し、内装・電気等の個々の工事は専門業者(協力会社)に発注します。当社が手がける工事は個人のお宅から都営住宅、区や学校の施設まで多岐に渡りますが、東日本大震災では東京都住宅供給公社の小口緊急対応依頼に迅速に対応し、地元のお客様のお役に立つことができ、こうした対応が信用となって次の仕事につながっています。

-今回BCP策定に取り組まれた理由を教えてください。

東日本大震災を体験し、人の安全の大切さ、人の確保の難しさを実感したことが大きいです。当社は地元のお客様も多いので、有事の際に迅速に地域の復旧に貢献し、お客様の期待に応えたいという思いも強く持っています。本社建物が古いので、万一の損壊に備えて代替オフィス用の部屋を別のビルに確保する等といった対策をこれまでも断片的に行っていました。BCP関連の研修に参加したこともあるのですが、ポイントが絞れず自力での策定は難しいと感じました。今年になって当社が加入する協同組合都住建経由で当支援事業を知り、これを機にBCPを策定してマネジメントシステムとして継続していきたいと思い、参加を決めました。

-策定されたBCPの内容を教えてください。

今回は震度6強の地震発生を想定してBCPを策定しました。発災直後は、人命に関わる緊急性と建築資材の供給可能性の面から、小口緊急工事の業務を優先的に行います。この業務には現場ごとに現場施工管理者1名、工事を行う協力会社、照明・工具・携帯電話の充電を行う電力等が必須であり、BCP策定に当たっては、当社社員及び協力会社作業員5割の勤務困難、電力インフラの3日間供給停止といった被災状況を想定しました。

まず勤務可能な現場施工管理者が工事の優先度を判断し、発電機をリースで早期に確保して、照明・工具・携帯電話充電等、最低限の電力を確保します。また勤務困難によって現場施工管理者が足りない場合は、現場ごとのチーム編成を変更して対応します。協力会社の作業者が不足する場合は代替の協力会社に発注を切り替えます。

新築工事とリフォーム工事については、小口緊急工事が落ち着いてから、自社と協力会社の被災状況を把握後、現場ごとのチーム編成変更や工事計画の変更、発注先の変更等により対応することとしました。勤務困難により人員が足りない場合には協力会社に新たに手配をし、協力会社が被災した場合は代替先に切り替えます。また重機が転倒・損壊した場合は新たにリースします。

対象事業建築一式工事(新築工事、リフォーム、小口緊急工事)
対象リスク東京湾北部地震
被災シナリオ・ 現場施工管理者の5割が出社困難
・ 協力会社(現場作業員、重機リース等)の5割が出社・手配困難
・ 電力の停止
予防・低減策・ 現場、自宅での危険予知活動の徹底
・ 事務所、倉庫の地震対策(固定、転倒防止策等)
・ 仕入先の多様化(分散発注)
代替策・ チームメンバー(現場施工管理者・協力会社)の再構成、発注先の変更
・ (協力会社・顧客との協議の上で)工事計画の変更
・ 発電機(リース)による照明・工具・携帯電話充電

-苦労されたポイントや、新たな気付きはありましたか?

作業現場では、日常の作業に潜む危険を予想・指摘しあうことによって事故を未然に防ぐ「危険予知」(KY)の習慣が身に付いていますが、最大の危険である災害に対しては、これまで具体的な想定をしていなかったことに気付きました。これまで経験や勘で動いていた部分について、BCP文書やチェックシートに落とし込むことで明確にでき、現場のメンバーに客観的に示せる材料ができました。また、プロジェクトメンバーではない若い社員の声も取り入れ、実態に即したチェックシートに仕上がったと思います。

今回、何よりもまず人が大事であり、その人を守るための対策が重要だと改めて認識しました。BCP策定作業が始まってから、プロジェクトメンバーは家庭でも家具の配置や避難場所等の地震対策を相談するようになったとのことです。今後は社内にも広めて指導する役割を担ってもらいたいと思っています。

-BCPを策定した感想をお願いします。

今回の支援でBCPを「策定する」という最初の目標が達成できました。これで「準備力」をつけるところまでこぎつけましたが、大事なのは維持継続し、「実行力」をつけることです。今後2、3年かけてPDCAサイクルを回していきながら、当社実態に即した実用性の高いものにしていきたいと思います。全従業員に携帯用BCPを配布し、演習や訓練を繰り返すことで当社独自のものにしていきたいです。BCPに留まらず、環境及び品質のISOとも連携して、業務改善等の波及効果につなげていきたいです。

株式会社小沢組 BCP策定プロジェクトメンバーの方々

関連サービス詳細

プロジェクトメンバー

代表取締役猪飼 昭彦 氏
工事部次長永野 政和 氏
工事部若林 文人 氏
工事部永野 玲子 氏
会社情報
称号: 株式会社小沢組
本社所在地: 東京都練馬区羽沢2-35-11
設立: 1962年3月
資本金: 5,000万円
従業員数: 18人
代表者: 代表取締役 猪飼 昭彦
事業内容: 総合建設業(新築工事、リフォーム工事、小口緊急工事)
URL: http://www.ozawagumi.net

(2012年12月末日現在)

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