事例紹介: 横山建設株式会社

横山建設株式会社 代表取締役社長 横山 実氏

社員の安全を守り、
社会の復旧活動に貢献する

横山建設株式会社 ロゴ

代表取締役社長 横山 実氏

想定リスク: 東京湾北部地震
業種: 建設業

-事業内容を教えてください。

創業約50年となる昔ながらの工務店スタイルで、多くの協力会社と共にワンストップで建設、補修工事を行う総合建設工事会社です。大規模集合住宅や、公共通信施設などの補修活動を事業の柱としております。優秀な大工を直接雇用し、長年、ご依頼主の建物の補修作業を行ってきたため、建物内部のことを熟知しており、継続した技術力を保有していることが当社の強みです。また、最近では、一般の住宅に対してのリフォーム事業も行っており、地域との共存と融和を心掛けております。

-今回BCP策定に取り組まれた理由を教えてください。

東日本大震災後に、大田区主催のボランティア活動に参加した際に東松島を訪れ、現場を見て、被災の恐ろしさを目の当たりにしました。実際に被災した際に何をすればいいのか、まったく検討がつきませんでした。とりあえず備蓄や防災品の購入をしましたが、昨年度、本プロジェクトに参加した同業者から、単発で災害対策を行っても効果はあまり見込めず、もっと系統だった対策を練る必要があるとアドバイスを受けました。

当社は、建物の補修作業を請け負っており、災害発生時には、顧客の建物に破損が発生することが予想されます。緊急対応の要請があれば、速やかに行動しなければなりません。そのためには、どのような準備が必要か――。同業者からのアドバイスにより、事業を継続するという視点が抜けていたことに気付かされました。

-策定されたBCPの内容を教えてください。

公共通信施設や大規模集合住宅などの建物修繕サービスを対象事業とし、建物や設備が損傷を受けた際の現地調査と応急処置を行うことを最優先に対応することにしました。これらを行うために必要な現場作業を行う作業員の30%が出社不能、機材である発電機・電動工具の一部が破損、養生材も乱雑化により一部使用不能となることを想定しました。このような状況になった際の代替策として、予め協力会社と災害時協定を締結しておき、職人さんの支援、発電機や養生材の融通を行うなど、お互いに不足した資源を補充し合うことを考えております。

また、作業員に対しては災害発生時の安全確保を考えました。具体的には、保護具の着用、現場での避難経路の確認、車に救急用品の常備と応急処置者の育成など、安全強化を行います。さらに今まで属人的な対応を行ってきた作業を見える化し、他の作業者も対応できるようにした上で、発災時は2人1組のチームを複数組織し、対応に当たらせることにしました。機材に関しては、従来、倉庫だけに保管していたものを、事務所や作業車への分散保管を行うようにしました。また、発電機は社内でも使用するため、追加購入を行うこととしました。

対象事業建物修繕サービス(現地調査、応急処置)
対象リスク東京湾北部地震
被災シナリオ・担当作業者が被災し、業務に就けない
・発電機・電動工具が故障し必要台数揃わない
・養生材が乱雑化し使用不能となる
予防・低減策・発電機・電動工具の保管場所変更(倉庫から事務所内へ移動)
・養生材を車へ常時搭載
・属人的要素の見える化、マニュアル化
・現場作業員の安全確保強化(保護具着用、避難経路確保等)
・整理整頓の徹底
代替策・協力会社と災害時協定を締結し、資源をお互いに融通し合う

-苦労されたポイントや、新たな気付きはありましたか?

当初のイメージでは、防災用品や備蓄品など、事前に何を用意すれば良いかを決めていくだけだと思っていました。しかし、そのような対策は重要なことではなく、BCP策定とはリスクに対する対応を見極めていく、もっと本質的な活動だということがわかりました。当社にとって重要な経営資源は人であり、経営資源である人=その雇用を守るためには事業継続が必要です。BCPは、まさしく会社を守るためのものだと気が付きました。

また、通常だと簡単に手に入るような資源についても、災害時は手に入らないかもしれない。日頃から整理整頓をしておかなければならないのですが、それができていないことも明確になりました。

副次的効果としては、参加したメンバーの意識が徐々に変わっていき、災害について日常的に考えるだけでなく、業務面においても管理意識が芽生えてきたと感じています。

-BCPを策定した感想をお願いします。

想像以上に理解が難しく、また、短期間で完了させなくてはならない大変なプロジェクトでしたが、チャレンジして良かったと感じています。これで終わるのではなく、今後も継続して改善していきます。今後は、取引先にも当社の取組を理解していただき、できれば共同で効果的な対応を協議していきたいと思います。また、災害時に同業者で協力し合えるように、組合としてBCPを作成するべきだと言っている仲間もいますが、今回のプロジェクトによりその必要性を感じました。組合にも働きかけていきたいと考えています。

今回、事業に参加させていただき、当社の企業力は確実に強化されたと感じており、東京都の支援に大変感謝している次第です。

横山建設株式会社 BCP策定プロジェクトメンバーの方々

関連サービス詳細

プロジェクトメンバー

代表取締役社長横山 実  氏
事務 横山 史子 氏
事務山中 理恵 氏
監督者遠藤 巧太 氏
会社情報
称号: 横山建設株式会社
本社所在地: 東京都大田区東矢口1-6-18
設立: 1963年4月
資本金: 5,000万円
従業員数: 12人
代表者: 代表取締役社長 横山 実
事業内容: 建物の建設、補修工事
URL: http://www.yonoji.co.jp

(2012年12月末日現在)

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